「維新」と「結い」と「みんな」、さらに民主党

【塩田】石原グループと分かれた後の維新は、野党側に立って、大同団結を目指して再編を推し進めていく方針だと思いますが、結いの党以外に、渡辺喜美前代表から浅尾慶一郎代表に交代したみんなの党とも、合同を視野に入れて交渉する計画ですか。

【浅田】はい。話をしていくつもりです。一緒にやりたいと思っています。

【塩田】橋下さんは維新と結いとみんなが一つになる方向を目指しているのですか。

【浅田】それに望むらくはプラス民主党も。対民主党で、僕は何人かの国会議員と定期的に意見交換しています。松井孝治さん(参議院議員時代に内閣官房副長官、民主党総括副幹事長などを歴任。現慶応義塾大学教授)を通して知り合った松本剛明さん(現政調会長代行。元外相)とは個人的なつながりがありますから、話し合いができたらいいなと思っています。

【塩田】2016年には参院選と衆議院議員の任期満了が控えています。狙いはやはり次期衆参選挙をにらんだ野党の結集ですか。

【浅田】目標はそこですが、その前段の統一地方選から一緒にやっていきたい。それが国政選挙の原動力になる。前段のところで敵味方に分かれて戦ったら、敵同士だから、修復できません。だから、統一地方選でできるだけ協力する。そこを見据えた政策協議です。

【塩田】「民主党も」と言いましたが、「民主党まるごと」ということですか。

【浅田】民主党はいま地方議員レベルで、神奈川県議とか横浜市議を中心に、結いの党、河村名古屋市長の減税日本、それから大阪維新の会と一緒に、ずっと勉強会を続けています。オブザーバーという形ですが、次から民主党の兵庫県議も参加したいという意向と聞いています。そういう場は広がりつつあると思っています。ですが、民主党でも官公労系の人たちは駄目ですね。民間労組系は、問題ないとは言えませんが、前原さんなんかは「官公労と民間労組は別に考えて下さいね」と言っていますから、一考の余地はあると思います。

【塩田】野党の大結集を推し進める場合、一番大きな問題となるのは。

【浅田】国家観ですね。僕らは地方主体の統治機構改革でこれからの国をつくっていこうと考えています。いま集団的自衛権の問題が大きな議論になっていますが、僕らは自衛権を再定義すれば、当然、集団的自衛権に入るものも含まれるし、内閣による憲法解釈の変更についても、憲法改正が直ちにできない以上、解釈による改憲も認めようという立場です。

ただし、チェック・アンド・バランスということで、憲法裁判所をつくるか、あるいは現在の最高裁に憲法判断を行う憲法部みたいな機能を持たせる。現在、違憲立法審査権を持つ最高裁は具体的な訴訟事件で憲法適合性を審査する通常裁判所というシステムで、1959年の砂川事件の判決でも、事件に付随して憲法に関する解釈をしているわけですが、そうではなくて、抽象的な解釈権を行使する憲法裁判所、あるいは憲法裁判所の機能を持った最高裁という形にする。内閣法制局が実質上の憲法解釈機関のようになっているのはおかしい。われわれは統治機構改革の一つとして、憲法を保障するために憲法裁判所、あるいは最高裁に憲法部みたいなものをつくりますと主張はしていますが、江田憲司さん(現結いの党代表)も、その点では見解は違わない。

【塩田】憲法問題以外で、結い、みんな、民主党との間で問題となる政策や路線は。

【浅田】エネルギー問題ですね。結いの党は明確に時期を切って2030年代に原子力発電を終えると言っています。僕らは自然的に淘汰されるだろうという見解ですから、そこは詰める必要がありますね。民主党も同じです。僕の個人的な見方ですが、結いと民主の細野さんのグループ、それから僕らと前原さんとは考え方が極めて近い。