目の前の問題を、自分に都合よく解釈してしまうことは誰にでもあることだ。それによって、やるべきことをやらなかったり、間違った解決法を選んだりしてしまう。こうした過ちを防いでくれるのが、柔軟で論理的な思考法である。

ジョン・ピアースは1999年から2003年半ばまで、メリルリンチのフィラデルフィア支店で個人向けブローカー部門の責任者を務めていた。この期間はファイナンシャル・アドバイザーにとって「職業人生の中で最も難しい4年間」だった、と彼は言う。それは、かつてない株価下落と企業統治に関する不祥事だけのせいではなかった。一部の証券アナリストが、自社の投資銀行部門の顧客獲得を助けるために企業評価にゲタをはかせたという疑惑が、混乱に拍車をかけたのである。