アルコールが痛風発作を誘発する
ビールも焼酎も麦芽を原料としている。では、プリン体の含量はどうなっているのか。プリン体ゼロの国産ビールを除くと、およそ3~6.9(mg/100ml)と、たいした量ではない。ちなみに、白米が25.9(mg/100g)で、薄力小麦粉が15.7(同)である。(帝京大・金子教授調べ)
焼酎にいたっては、プリン体はゼロなのである。
ならば後顧の憂いなく、存分に、とグラスにそそいではいけない。
痛風発作の原因となる尿酸塩は、尿酸から生合成されるのだが、これを亢進するのがアルコールと考えられている。要するに、アルコールは尿酸の過剰生産を促すとみられている。そのもののプリン体含量はさほど意味をもたないのである。実際に、深酒をすると必ず発作に襲われる。ならば、一杯か二杯でやめればいいではないか。それが、できない。
もっとも、私の20年間に及ぶ痛風経験からすると、醸造酒系のほうが、比較的発作を起こしやすいような気がする。
痛風発作を起こすまでは、皆勤賞ものでせっせと愛飲していたビールであるが、繰り返し発作を体験するうちに、
「ビールを清涼飲料と軽くみているから」
つい、手をのばしてしまう。それでいい心地になって、警戒心が薄れ、焼酎、ウィスキーと際限なくなり、酔っ払って、案の定、発作爆発というのが私のパターンで、それを改善するためにはここで思い切って、
「ビールを断とう!」
それで、アルコールは痛風発作を招くもと、と己が高尿酸血症患者である自覚を促そうとしたのだった。
決心したものの、ビールへの愛着は断ちがたく、またまた失敗をやらかすのである。
(佐久間奏=イラストレーション)