具体的には社員意識調査や社員へのヒアリングを通じて会社に対する不満を抽出し、解決すべき課題をリストアップし、部門長に問題の解決を迫る役割も担った。さらに経営課題について社長・部長と若手社員が話し合うランチミーティングなどの各種イベントの設定も手がけた。いきなり多忙な現場に投げ込まれてGEのカルチャーや仕組みについて勉強する時間があったとは思えないが、独力で学んだという。

「広報業務のマニュアルがあるわけではありません。自分で空気を読んで身につけていくというスタイルです。なんとなくあたりをつけて、わからなければ人に聞いたり。広報の役割柄、アニュアルレポートを読み、また、社員より先にジャック・ウェルチのメッセージを読んで日本語に翻訳して社員に流すということをやっていたので、日々の積み重ねで理解していくのです」

GEで叩き込まれた一つが「リーダーたれ」という言葉だ。「常にリーダー、リーダーと社内で言っていて、最初は意味がわからなかったのです。部長、マネジャーの肩書ではなく、どんなに小さなプロジェクトでも受け身ではなく、自分がリードする、変化を待つのではなく、自ら変化を起こして仕事をつくり出していくことを徹底的に叩き込まれました」

石田氏は2004年にGEを退職後、中堅製薬会社に広報部長として入社。その後、合併で誕生した3000人規模の外資系製薬会社の広報責任者として合併後のインターナルコミュニケーション活動で腕を振るった。

座右の銘は、ジャック・ウェルチの“Control your own destiny or someone else will”(自分の運命は自分でコントロールしなさい、さもないと誰かにコントロールされる)だ。「自分の道は自分で切り開き、そのことに自分で責任を持つということです。ウェルチに出会う前から私はそういう生き方をし、転職を繰り返しながら自分のキャリアを築いてきました」。