聴衆の興味を引くコンセプトを打ち出す
さて、安倍首相と同じように自分のプレゼンを進化させるためには、何が必要でしょうか。
第一にはもちろん、プレゼン内容の充実などの努力ですが、それに続くものとして、プレゼンを行っている最中に、いかに聞き手の反応や注目の強さを獲得するか、ということが挙げられます。それらが強ければ強いほど、プレゼンターはやりがいを感じてさらに頑張ることができます。その結果、聴衆の期待とプレゼンの出来のよさは比例していくことになります。
ではどうすれば聞き手の興味を引くことができるでしょう。
第1次内閣発足時、安倍首相にはもちろん、国民の大きな期待がかかっていました。でも、このときは、5年5カ月もの長期政権を築いたカリスマ首相・小泉純一郎氏のすぐあとだったのです。後に自ら語っているように、「気負い」があったのも事実です。どうしても肩に力が入って、話す文章が難しくなりました。
当時、安倍首相が掲げたのは、「美しい国、日本」というコンセプトでした。「美しい国」の姿を、1つ目に「文化、伝統、自然、歴史を大切にする国」、2つ目に「自由な社会を基本とし、規律を知る、凛とした国」、3つ目に「未来へ向かって成長するエネルギーを持ち続ける国」、4つ目に「世界に信頼され、尊敬され、愛される、リーダーシップのある国」としました。どれも非常に理想的です。
しかし、この4項目は国民にとって、あまりにも現実味がなく、象徴的な感じがして、パッと飛びつくことができませんでした。
それが、第2次内閣発足時の所信表明演説ではまるで違ったのです。