■量子力学へ誘うノーベル賞学者

『光と物質のふしぎな理論』
   R.P. ファインマン、釜江常好、大貫昌子訳/岩波現代文庫

ノーベル物理学賞を受賞した著者による、量子電磁力学の概念を解説した文庫本。「何の研究をしているの?」と隣の奥さんに訊ねられた著者。超難解な分野だが、物理が全くわからない人でも理解できるように、数式を全く用いずに絵を描いたりしつつ、光と電子が織りなす不思議な世界へと誘う。「ファインマン流の量子力学は、素粒子論を学ぶうえでの標準となっています。独創的な物理学者の考え方が手に取るようにわかるという意味で、ものすごく貴重な本」。

■多世界宇宙の魅力とは何か

『隠れていた宇宙 上・下』
   ブライアン・グリーン、竹内 薫監修、大田直子訳/早川書房

超ひも理論で知られる著者が、最先端の物理学者たちがたどりついた多世界宇宙の魅力を解き明かす。「一般向けに書かれた本で、マルチバース(多世界宇宙)についてこれだけ詳しく書かれた本はありません。いろんな宇宙の話について書かれた下巻だけ買っても構わない」。13年7月に文庫本化された。

(構成=吉川明子)
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