【田原】なるほど。そういう発想は森川さんのどこから生まれてきたんだろう。

【森川】大学時代にジャズをやっていました。スポーツは負ける人がいますが、音楽は聴く人も演奏する人も一緒にハッピーになれる。ビジネスでも社会でも、同じことができるといいなと。

【田原】さっき経営はサッカーと言ってたけど、サッカーは勝ち負けがつく。そういう意味でいうと、やり方はサッカーだけど、精神は音楽だ。

【森川】はい。音楽でもクラシックより、ジャズのインプロビゼーション(即興)に近いと思っています。

【田原】最後に、世界の展望も聞かせてください。いまスペイン、台湾、インド、ブラジル、ロシアは伸びてますね。ただ、中国やアメリカではあまり伸びていない。どこが難しいんですか。

2013年、LINEユーザーが世界3億人を突破。1月に1億人、7月に2億人、そして11月に3億人を突破。現在、3億7000万人に。

【森川】中国は、WeChatという同じようなサービスがあって、非常に強い。やっているのはテンセント(Tencent)という会社で、フェイスブックより時価総額が高いくらいですから。アメリカも似たようなサービスがたくさんあって、競争が激しい。ユーザー数は伸びていますが、いま挙げていただいた国よりは、伸びるスピードが遅いです。

【田原】次はどこを狙うのですか。

【森川】アジア、南米は非常に人気で、順調に伸びています。これからはヨーロッパや北米を強化したいですね。

【田原】アメリカはスタンプがウケないという話を聞いたことがあります。そのあたりはどうですか。

【森川】たしかにいままではそう言われてきました。ただ、これまでの仮説や経験則が本当かどうかを見極める必要があります。ビジネスの人は「スタンプはまずい」と考えるかもしれませんが、お子さんや若い女性にはおもしろいと思ってもらえるかもしれない。日本でウケているものより、もっとクールなデザインのほうが受け入れられる可能性もあります。いまはそういったものをテストしながらやっています。

【田原】わかりました。今日はどうもありがとうございました。