聞き手の心をつかむ導入と行動を起こさせる締めくくり

・脳をポジティブに、幸せにする訓練方法

今度は、脳をポジティブに、幸せにするために開発した5つの訓練方法で脳が「現実はネガティブなものだ」と考える回路を書き換えることができるという。

1.ありがたいと思うことを、毎日3つ書きだす

21日分終えるころには、まずはポジティブなものを見つけようとするパターンが身につく。

2.24時間のポジティブな体験を日記に書く

日記に書くことで脳がそれを追体験して、ポジティブになる。

3.運動する

行動が大切であることを脳に教える。

4.瞑想する

複数のタスクを同時平行しようとして陥る注意欠陥・多動性障害を克服し、手元の1つのタスクに集中できるようになる。

5.意識して親切な行動をとる

誰かに称賛や感謝の気持ちのメールを書く方法などでもOK。脳もトレーニングすることによって、幸せになり、成功することもできる……。

このプレゼンの“導入”は、7歳の頃に自分が妹にけがをさせそうになったとき、妹が泣き叫ぶというネガティブな結果を引き起こす代わりに、「ユニコーンみたいでカッコイイ」といういい印象を与えることで彼女の脳にいい影響をあたえた「ポジティブ心理学」にまつわる小話のアネクドーテに始まっている。そこから前述のハーバード大学の学生が幸せをどのように受け止めているという実例から幸福についての脳のあり方を考えていく、という流れだった。

構成の骨格はおよそこんなところだ。

1.人の気持ちをつかむアネクドーテ(小話)で始める(本題に入るためのきっかけにもなる内容)。
2.エピソードを交えて問題を提示。事実や現実による裏付けとする。
3.本題が流れの中で、話の塊ごとに「見出し」がつくかのように要点を絞る。
4.最後に、聞き手が何をすべきかを具体的に提示する。

前述したとおり、アル・ゴア副大統領のTEDでのプレゼン構成と似ていることがおわかりの方もいらっしゃるだろう。ちょっとした小話やトークに自信のある方や挑戦してみたい方は、こんな風に身近な小話で聞き手を味方につけて、自分のすべてに「YES」と言ってもらえる好感を持った状態をつくりあげると効果的だ。そこから本題に入り、見出しが見えるかのように要点を伝え、最後に何をすべきかを具体的に示す。これが効果的に人の心を揺さぶり、行動を起こさせるプレゼンにする手段のひとつといえるだろう。

[参考資料]
TED  Shawn Achor  May 2011
http://www.ted.com/talks/shawn_achor_the_happy_secret_to_better_work

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