その結果、やはり社長は何も知らず、社員が勝手に横領していたとなれば、国税にとっては肩透かしです。時間をかけて調べた結果、想定していた重加算税が取れないどころか、追徴できない可能性もあります。調査する側にとっては、まことにつまらない時間になってしまいます。

被害者であっても課税される恐れ

それでも、車田さんの会社に何の税金もかからないとは限りません。社長の私的流用かどうかとは別に、本来会社に入るべきライセンス収入が帳簿から外されていたのであれば、その売上は申告漏れとして課税されます。

そして、その申告漏れの理由によっては、さらに重加算税が課されます。車田さんのケースは報道を見る限り、重加算税が課されたかどうかは明らかになっていません。

重加算税は、課税の基礎となる事実を「隠蔽又は仮装」した場合に課される、いわば悪質な申告漏れへのペナルティです。社長本人が知らなくても、経理を任された責任者が帳簿を操作していた場合、その行為は会社自身の行為と同じものとみなされることが多いのです。

今回のケースでは、3社の経理を一手に任されていた元マネジャーが、関連会社を装った別会社にライセンス料を振り込ませ、売上を帳簿から外していたとされます。こうした行為が会社自身の隠蔽・仮装とみなされれば、重加算税が課される可能性は高いでしょう。車田さんからすれば、「お金を抜かれたうえに追徴税まで払う」という、踏んだり蹴ったりの状況です。

電卓で計算をする人
写真=iStock.com/milorad kravic
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身内の不正は「取引先」からバレる

今回の事件は、一般の会社員にとっても決して無縁の話ではありません。会社のお金を任されたとき、出来心で自分の懐に入れてしまったとしても、会社にバレずに済むことはあるでしょう。しかし、いずれ国税の調査を通じて発覚します。