明らかな女性差別である改正皇室典範
いったい娘の配偶者にどう接していいのか。孫が生まれた場合、どう育てていいのか。これまで、代々の皇室が経験したことのない奇妙な「壁」が、そこに生まれることは避けられない。
当初、議論の対象になっていたように、配偶者や子どもにも皇族の身分を認める「女性宮家」の創設ということであれば、状況はわかりやすい。配偶者も子どもも皇族になり、皇室の一員として活動できる。天皇やほかの皇族としても、新しいメンバーとの接し方は、皇室に嫁いできた女性に対するものと同じになるだろう。
ところが、女性皇族の結婚後の身分保持のあり方は、明らかな女性差別になっている。それは、旧宮家からの養子が男性に限られているところにも示されている。今回改正された皇室典範は、徹底した“女性差別の産物”なのである。
この改正皇室典範に実質的な効果があるかどうかは、施行前からかなり疑問視されてきた。天皇も皇嗣である秋篠宮も改正に疑問を持っているかのような発言をしており、そうした状況のなかで、他の宮家が養親となることは難しい。
まして、一般国民として生活してきた旧宮家の人間が養子になると手を挙げることは、事実上困難である。おそらく、養子は実現しない。多くの国民もそのように考えているはずだ。
早期の「再改正」が求められる可能性
内親王や女王の立場からしても、それまで皇族としての活動を積み重ねてきたわけで、結婚後もそれを続けることに生きがいを見いだしたいという思いはあるだろう。
しかし結婚後、皇室に留まったとしても、その立場はひどく不安定で中途半端である。ならば、結婚後は皇室を去り、一般国民として生活したほうがいい。そんな選択がなされても、一向に不思議ではない。
たしかに、戦後一度もなされなかった皇室典範の実質的な改正が実現したことは画期的である。だが、その内容にはあまりにも問題が多い。
改正の主眼となってしまった旧宮家からの養子が現れないことが、今後はっきりしたら、その再改正を求める声は、今以上に高まっていくはずだ。このままでは、皇室がなくなるかもしれない。そうした危機意識が共有されれば、政治家も再改正にむけて動くしかなくなる。
改正法の附則には、皇族数確保の状況などを勘案し、必要があると認められるときは、30年ごとに見直す規定が置かれている。ただし、30年を待たなければ見直せないわけではない。養子制度が機能せず、皇族数の減少を食い止められなければ、早期の見直しが求められることになるだろう。

