治療にコカ・コーラが使われた例
その炭酸飲料とはコカ・コーラだ。いくつか柿胃石の治療にコカ・コーラが実際に使われた症例報告をご紹介しよう。
「徳島大学大学院などによる症例報告」によると、63歳の男性に、つるし柿(筆者注:いわゆる干し柿のこと)6個を一度に食べた直後に、腹痛の症状が現れ、翌日には悪心・嘔吐の症状も表れたという。その原因は胃にできた6cmほどの柿胃石だった。そこで経口摂取などによってコカ・コーラによる溶解療法が実施された。すると柿胃石が数個の破片に崩壊し消失する経過が内視鏡的に観察されたという。
また、「がん・感染症センター都立駒込病院などによる症例報告」では、柿を多いときで1日に5個から6個食べていた73歳の男性が、昼食後に突然嘔吐し、左上腹部に違和感が現れたという。原因は胃にできた8cmほどの柿胃石だった。当初、内視鏡を使って破砕が試みられたが、固く、難しかった。そこで、局注針を使ってコカ・コーラを柿胃石に注入し、軟化させた後に、内視鏡を使って破砕したという。
このようなコカ・コーラによる柿胃石の溶解のメカニズムについては、実ははっきりとしていない。諸説があるが、香川県立中央病院などによる症例報告では、炭酸から生ずる二酸化炭素の気泡が重要であることが示唆されるとされている。
食欲の秋は“ほどほど”が良さそう
ただ、治療すれば済むという話でもない。「古賀総合病院による症例報告」によると、過去には胃石の回収から2日後に再発した症例も報告されているという。胃石は短期間で形成され得るということだ。
なお、先に紹介した、2度の腸閉塞で手術を受けた82歳男性(三豊総合病院の症例報告)は、偶然飲んだコカ・コーラによって、柿胃石が溶解し、腸に落下して、腸閉塞を引き起こしたと考えられるそうだ。いくらコカ・コーラが医療現場で治療に使われているからといって、柿胃石が疑われるような場合に、自己判断で、コカ・コーラを飲むことは避けた方がよいだろう。すぐに医療機関を受診してほしい。
今回紹介した症例報告では、柿を1日に5個から6個も食べていたという例が多かった。実りの秋はおいしいものが多く、食欲がつい進んでしまうが、なにごともほどほどに楽しむのがよさそうだ。
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