「寝る前スマホ」で睡眠に異変
寝る前にスマホをチェックするだけ。そう思いながら、気づいたら1時間が経っていた。
画面を閉じてベッドに入っても、どこか目が冴えている。
そんな夜が続いているのであれば、それは気のせいではなく、明確な原因があります。
ブリガム・アンド・ウィメンズ病院のチャングらは、12名の健康な若年成人を対象に、就寝前4時間に発光するタブレット端末で電子書籍を読んだ場合と、同じ内容を紙の本で読んだ場合で、睡眠への影響を詳細に比較しました。(※3)
結果、タブレット使用の夜は、眠りを促すホルモン「メラトニン」の夜間分泌量が紙の本に比べて約55%も抑えられていることがわかりました。
メラトニンは日が暮れると脳が自然に分泌し、「そろそろ眠る時間だ」という体内の合図をつくり出すホルモンなのですが、その信号が半分以下に抑えられてしまっていたのです。
また、タブレット使用後は寝つきに平均約10分余分にかかり(25.7分 vs 15.8分)、深い眠りのあとに訪れる「レム睡眠」の時間も有意に短くなりました。
「画面の明るさを下げる」は無意味
そしてさらに驚くべきなのは、翌朝に及ぼす影響です。8時間しっかり眠っても、タブレット使用後の朝は翌朝の目覚めの鋭さが低下し、日中の眠気が増すことが示されたのです。
スマホやタブレットの画面は「ブルーライト」と呼ばれる短い波長の光を多く含んでいます。この光が目から脳の「体内時計」に伝わり、「まだ昼間だ」と勘違いさせてしまいます。
その結果、メラトニンの分泌が抑えられ、体が眠りの準備をできないまま時間だけが過ぎていくことになるのです。
加えて、この研究では、就寝1時間前の時点で参加者自身が『まだ眠くない』と答えていました。眠りを促すホルモンの立ち上がりも1時間半ほど後ろへズレていました。
「画面の明るさを下げているから大丈夫」
そんな方もいるかもしれません。
しかし、この研究では低照度の環境下でもブルーライトの影響が顕著に現れていました。画面を少し暗くすれば済むなどと単純に考えないほうがよさそうです。
また、眠りを妨げるのは光だけではありません。通知や動画、SNSなどの情報は、気持ちを動かして脳を覚醒させます。
画面を暗くするだけでなく、就寝前はスマホから距離を置き、紙の本や翌日の準備など、刺激の少ない行動に切り替えることが大切です。
(※1)Valls-Pedret, C., Sala-Vila, A., Serra-Mir, M., Corella, D., de la Torre, R., Martínez-González, M. A., Martínez-Lapiscina, E. H., Fitó, M., Pérez-Heras, A., Salas-Salvadó,J., Estruch, R., & Ros, E. (2015). Mediterranean diet and age-related cognitive decline: A randomized clinical trial. JAMA Internal Medicine, 175(7), 1094–1103.
(※2)Drake, C., Roehrs, T., Shambroom, J., & Roth, T.(2013). Caffeine effects on sleep taken 0, 3, or 6 hours before going to bed. Journal of Clinical Sleep Medicine, 9(11),1195–1200.
(※3)Chang, A.-M., Aeschbach, D., Duffy, J. F., & Czeisler, C. A.(2015). Evening use of light-emitting eReaders negatively affects sleep, circadian timing, and next-morning alertness. PNAS, 112(4), 1232–1237.
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