しっかり寝たはずなのに、朝がつらく昼に眠いのはなぜか。明治大学法学部教授の堀田秀吾さんは「眠りを妨げるのは光やカフェインだけではない。通知や動画、SNSなどの情報は、気持ちを動かして脳を覚醒させる。画面を暗くするだけでなく、就寝前の過ごし方を見直すことが大切だ」という――。

※本稿は、堀田秀吾『科学的に証明された 頭のいい人が習慣にしている 学び方の戦略』(アスコム)の一部を抜粋・再編集したものです。

疲れた様子で机に突っ伏している人
写真=iStock.com/eggeeggjiew
※写真はイメージです

地中海食が認知機能の低下を抑える

食事は体の健康だけでなく、脳の働きとも関係している可能性が指摘されています。

近年の研究では、食事パターンと認知機能の関係が調べられており、そのなかでも「地中海食」と呼ばれる食事スタイルがとりわけ注目されています。

地中海食は、野菜、果物、豆類、全粒穀物、魚、オリーブ油などを多くとり、赤身肉や飽和脂肪酸の多い食品を控える食事パターンのことです。

カルロス3世保健研究所のバルス=ペドレットらは、この食事パターンが認知機能に与える影響を調べる研究をおこないました。研究では、心血管リスクを持つ中高年の参加者を対象に、地中海食を中心とした食事指導を実施。数年間にわたって認知機能の変化を追跡しました。(※1)

その結果、エキストラバージンオリーブ油を足したグループでは、計画や注意にかかわる働きが対照グループより保たれ、ナッツを足したグループでは記憶の面で差がつきました。

重要なのは、特定の食品だけでなく、日々の食事の組み合わせ全体が調べられた点です。

まずはお菓子をナッツや果実に

この結果は、特定の栄養素だけでなく、食事全体のパターンが脳の健康に関係する可能性を示唆しています。

地中海食には、オリーブオイルの一価不飽和脂肪酸やナッツのα-リノレン酸といった不飽和脂肪酸、ポリフェノールなどの抗酸化物質、抗炎症作用を持つ成分が多く含まれており、炎症や血管機能に関係する経路を通じて脳の健康に影響する可能性があるのです。

ただし、食事だけで認知機能が大きく変わると断定することはできません。それに加え、運動や睡眠などの生活習慣と組み合わせて考える必要があります。

1つだけ置き換えると、食後の眠気や満腹感、集中力の変化にも気づきやすくなります。数日続けて様子を見ながら、自分に合う選択を探していきましょう。

食事を一度に理想形へ変える必要はありません。毎日の食事のなかで、無理なく続けられるものを1つだけ選びましょう。

たとえば、白米の一部を全粒穀物にする、パンに塗るバターをオリーブ油に変える、お菓子の代わりにナッツや果物を選ぶといった方法です。

すべての食事を完璧に整えようとすると、買い物や調理の負担が増え、長続きしにくくなります。1つの置き換えが定着してから、次の1つを加える。その積み重ねによって、食事全体のパターンを少しずつ変えていくことができます。