最初に暴走AIの被害に遭うのは…
今の状況を見ると、むしろ事態は逆に動いているようだ。7月、習政権が上海で開催した世界人工知能大会で、中国は自国を中心とした世界のAI開発、利用、インフラ整備や人材育成構想を提示した。
8月、北京で開いた世界ロボット大会と、世界人型ロボット運動会では中国企業が開発したAIロボットに注目が集まった。フィジカルAI分野でも、中国は世界トップの地位を手中に収めている。
アンソロピックとオープンAI、グーグルなどの企業が、AIの開発ペースを本当に落としたとしても、賛同しない企業は開発ペースを引き上げるだろう。トランプ氏も指摘したように、米国の開発ペースが落ちたら、中国は絶好のチャンスととらえるに違いない。
習政権は、すでに積み増しているAI開発、半導体、半導体製造装置、半導体関連の部材、ロボット関連の産業補助金や研究補助、工場用地の供与などを増やすことも考えられる。それによって、中国の関連企業の開発・生産能力が向上する可能性は高まる可能性もある。
米国は、中国AI業界を抑えようと規制や禁輸措置を増やすだろうが、効果は限定的だろう。中国では、AIの利用がさらに増加し、ロボットの暴走やAIによるサイバー攻撃などが増えることも懸念される。その状況が続くと、本当に映画『ターミネーター』のような状況に直面するのは、米国よりも中国のほうが先との見方もある。
Xデーは「10年後」より早いかもしれない
8月、中国と関係のあるハッカー集団が、台湾の原子力安全機関、民間企業などを攻撃したと報じられた。ハッカーが使ったAIは自己改善を繰り返し、台湾の公的な職員の情報を盗んだといわれている。オープンソース型を重視する中国のAIが世界に拡散すると、こうした危険性は高まらざるを得ない。
世界がそうした状況に直面することは、本当にAIの脅威、危険性を理解するために必要なのかもしれない。そうした日が到来するのは、多くのAIの専門家が想像するよりも前倒しになるかもしれない。
日本は、欧州や韓国、台湾、およびIDAISなどAIの専門家組織との連携を強化し、国際的なAI関連ルール策定を急ぐ必要がある。足元の状況は深刻さを増しつつある。AIの暴走、人類への脅威を抑えるために多国間の連携の重要性が高まっている。そのリスクを過小評価するのは適切ではないだろう。
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