完売まで100年以上かかる計算に

フォレストシティは当初の狙いを外れ、ゼロから人工島を埋め立てて行う街開きの難しさを証明してしまった。

アルジャジーラは2023年時点で、全2万8000戸のうち約5000戸が売れ残っていると報じた。数字の上では販売済みは82%にあたる計算で、不振とまでは言えないかに見える。

ところが今年、フォレストシティ特別金融区が欧州プレスリリース配信プラットフォームのEQSニュースワイヤーを通じて出したリリースでも、2万6000戸の約80%が売却済みとされている。実に2年半近く、新たに売れた住戸がほぼない。

開発を手がけるフォレストシティ側の地域担当副社長、シャルル・イザム・サリフディン氏はアルジャジーラの取材に「毎月2〜3戸を販売している」と説明した。単純に割れば、残る5000戸を売り切るにはゆうに1〜2世紀かかる。

フォレストシティはリリースで、「ゴースト・シティ」と異名があったことを認めつつ、この呼び名は「事実として時代遅れだ」と主張した。

夜のフォレスト・シティ。2024年撮影
夜のフォレストシティ。2024年撮影(写真=YankeeHo/CC-BY-SA 4.0/Wikimedia Commons)

中国人狙いの開発計画が招いた悲劇

だが実際の街の光景は、リリースに漂う華々しいムードと趣を異にする。

2025年にシンガポールから移り住み、IT関連の仕事に就くフィリップ氏(仮名)はBBCに、「ここ3カ月ほどでマンションの明かりが増えた。以前は20戸に1戸程度だったが、今は5戸に1戸ほどだ」と語る。

裏を返せば、着工から10年が過ぎた今も、彼が住む区画では、5戸に4戸の窓が暗いままだ。投機目的での中国からの購入に頼った結果、住民のいない街が残った。

アンダマン島が同じ結末を迎えるとは限らない。買い手は地元の富裕層であり、開発規模も抑えられている。だが、総額600億リンギット(約2兆4000億円)の開発が買い手として見込むのは、州内でも10万世帯に満たない上位所得層だ。販売額を開発費用に充てる自転車操業の方式で、需要が細った先に待ち受ける2年の販売の谷を、果たして越えられるか。

需要の裏づけが確かめられないまま借入金で海を埋め、土地を売って返す。フォレストシティで問題となった悪名高い方式は、場所を変えて今も続いている。

※[1ドル=160円、1リンギット=40円]

検索時にプレジデントオンラインに関連する記事が表示されます

【関連記事】
【画像をみる】昼とはまた違う…夜のフォレストシティの高層ビル
「日本円の紙くず化」へのカウントダウンが始まった…高市首相が狙う「借金1342兆円を帳消しにする」禁断の処方箋【2026年5月BEST】
地方衰退の一番の原因は「人口減少」ではない…山口の超富裕層が「住民税43億円」をまるっと抱えて移住した理由
帝国ホテルでも椿山荘でもない…「ミシュランガイド」が太鼓判を押した意外すぎる日本のホテルの名前【2025年11月BEST】
バフェットも「現金は危険だ」と警告した…オルカンでもS&P500でもない、インフレ時こそ強さを発揮する「資産」