ロシア・ウクライナの立場は変わっていない

ゼレンスキー大統領は6日の会談後の会見で、会談内容には詳しく言及しなかったが、ウクライナ政府筋は「交渉で進展はなかった」としている。

ゼレンスキー大統領はむしろ、ロシア軍の攻撃激化に備え、迎撃ミサイルや発電施設の提供を米側に要請した模様だ。

米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、「ロシアはドンバス地方を明け渡して最終的にロシアの支配下に置くよう主張し、ウクライナは領土を放棄せず、安全の保証が必要だと主張した。双方の長年の立場を改めて示した」と指摘した。

ウィトコフ特使の訪露は今回が8度目だが、キーウを訪れたのは初めて。特使の祖父母はロシア系ユダヤ人で、ロシア革命前後にサンクトペテルブルクから米国に移住した。ロシアに思い入れがあり、プーチン氏に取り込まれた印象だが、キーウを訪れたことは一定の前進だった。

米国は昨年秋から三者協議を仲介していたが、2月末のイラン戦争後中断した。双方は交渉再開には同意しており、9月20日のロシア下院選終了後に交渉が再開される可能性がある。しかし、領土と安全の保証で対立は根深く、難航は必至だ。

米国は硬軟両様に転じた

米国のメディア「アクシオス」は、今回の米側代表団にホワイトハウスや国務省、財務省のチームが加わっており、特に制裁担当のラング財務次官が参加していることに注目している。従来、ウィトコフ特使の訪露に政府関係者は同行しなかった。

これは、米政府がロシアの対応次第で制裁の強化や緩和に取り組む意向を示唆している。米上院は新たな対露制裁法案を可決し、下院の承認と大統領の署名を経て成立する。成立すれば、トランプ政権2期目では初の対露単独制裁となり、米側は硬軟両様の対応を取り始めたようだ。

米側の対応の変化は、8月25日のラトクリフ米中央情報局(CIA)長官の電撃訪露でも観測された。CIA長官の訪露は2022年2月のウクライナ侵攻後初めてで、8時間の滞在中、対外情報庁(SVR)のナルイシキン長官、連邦保安庁(FSB)のボルトニコフ長官の二人と個別に会談した。

(CNN「米CIA長官がモスクワを電撃訪問、ロシア当局者と会談するため 情報筋」2026年8月26日)

ジョン・ラトクリフ
ジョン・ラトクリフ(写真=Office of the Director of National Intelligence/PD ODNI/Wikimedia Commons

しかし、ロシア側の報道では、会談は不調に終わり、プーチン氏は会談をキャンセルした。

情報チャンネル「アゲントストボ」によれば、ボルトニコフ長官との会談は非難の応酬となり、険悪な雰囲気が漂ったという。