年間の電気代は1億1000万円→6000万円

――共用部の照明をLEDに替えて、電気代は半減できたのですか

「空調のエアコンも省エネタイプに交換しました。照明の更新は、外壁の補修よりも先にやったんです。それで、年間の電気代は、1億1000万円から6000万円まで下がりました。15年間で7億円以上浮くと見込めます。その分を修繕費に回せるようになりました」

――設備のなかでは、地下にガスの熱源があるセントラル給湯・暖冷房システムの更新には10億円以上かかるそうですね。巨額の工事の発注の透明性は、どう保てばいいのでしょうか。理事長に群がってくる業者も多いでしょうし、他のタワーマンションでは、理事長にキックバックをチラつかせて「落とし」にかかる業者もいるとか……

山岡淳一郎『マンション 狙われる修繕積立金』(平凡社新書)
山岡淳一郎『マンション 狙われる修繕積立金』(平凡社新書)

「うちでも、かつては業者の売り込み話はぜんぶおれにもってこい、とうそぶく管理組合の理事もいたようです。理事による業者の紹介は諸刃もろはの剣です。ステータスの高い住民が多いので豊富な人脈を生かせば、適材適所の業者を選ぶことができます。

けれども、理事のモラルが下がれば紹介料という裏金が飛び交います。いったん透明性が損なわれると、立て直すのは至難の業なんです。そこで、管理組合は、ルールをつくりました。一定の金額以上の修繕工事は、原則的に元施工の推薦業者と、業界最大手の会社、理事紹介の業者の3社を呼び、それぞれに現地調査を要請したうえでプレゼンテーションの場を設けます。その場に業者を紹介した理事も招き、わたしを含む七人の修繕委員が技術論とコスト管理の両面から徹底的に質疑し、精査することにしました」

――モラルを保つのは、なかなか大変でしょう

「理事と、その紹介業者への厳しい質疑を通して、もしも紹介料をやりとりしていたら、それがいかにみっともないことか、紹介料の授受が3000人の住民に知れたら本人も業者も社会的地位を失うことを、強く印象づけました。理事たちにモラルの大切さを刷り込み、共同体の規範を植えつけたんです。工事費が一定額以上の修繕に関しては、住民総会での発注承認を義務づけました」

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