スカイツリーが下町を変える

ところで、スカイツリーといえば東武鉄道である。この沿線の動きはどうなのだろう。

(PANA=写真)

「東武鉄道は押上にオフィス街をつくり、そこに東武鉄道を使って通勤する人を生み、その人たちのために住宅地をつくって売りたいと考えているはずです。東急は同じことを田園都市構想で行い、数十年かけてそのイメージを定着させてきました。東武がそれを狙っているのだとしたら、成否は今後30年間、町づくりをがんばり続けられるかどうか。町のイメージを変えるのは時間のかかる、大変な作業です」

現在、東急沿線に価値の高い町が多いことを考えると、町選びではそこに深く関わる電鉄会社の地域振興策もポイントになってくるといえるわけだ。

最後に、今後の東京の価値上昇を考えるうえで欠かせないものを一つ。東京オリンピックである。20年開催を目指して現在、招致活動が続けられており、これが実現すれば大きな転換になる可能性がある。

「人口減少で首都圏も自然増(地域内の、出生による人口増加)は減っているものの、都市圏では社会増(地域内の、転入による人口増加)が続いており、その傾向は今後も持続するはずです。その数的な変化に加え、オリンピックで町並みその他に質的な変化が起これば、首都圏にはまだ発展の余地があるのではと見ています」

結論が出るのはこれまたまだ先だが、首都圏のバリューアップに期待をかけて見守りたい。

中山登志朗
東京カンテイ市場調査部上席主任研究員。現在、不動産市況全般の調査・分析を担当している。市況レポート「Kantei eye」編集長。金融機関やデベロッパーに幅広い人脈を持ち、講演などで活躍している。
(PANA=写真)
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