「66歳がベスト」って本当?

65歳以降は配偶者が亡くなると、遺族年金と老齢基礎年金の両方をもらえます。ただし繰り上げ受給をしていると、65歳前はどちらか一方しかもらえません。

受給開始を1年遅らせることで、もらえる年金が8.4%も増える。これをふまえて、「年金は66歳からもらうのがお得だ」と主張する人もいます。言い分としては、繰り下げ受給すると年金額が増えてお得だけれど、その間に健康を損なうなどのリスクも上がる。

増額されるのは1年後から(その後は1カ月ごと)だから、「1年繰り下げた66歳がベストだ!」というものです。具体的に見ていきましょう。収入によらず同じ額をもらえる老齢基礎年金を70歳まで繰り下げる場合を考えてみます。2026年度の老齢基礎年金の満額は、年間約84万7300円です。

これを65歳でもらわず70歳までの5年間遅らせると、0.7%×60カ月=42%増となります。84万7300円に増額率42%をかけると、年間約35万6000円増えることになります。この増額が一生続きます。繰り下げ受給の良いところは、この増額率です。銀行に預けていたらほんのわずかの金利しかつかない時代に、繰り下げ受給をすれば1年間で年金が8.4%増えるわけです。

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写真=iStock.com/Yusuke Ide
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年金額が増えると非課税の恩恵が減る

もし繰り下げをして、年金をもらわずに待機している間に心変わりしたら、待機をやめてもかまいません。中断してもとくに損はしないのです。待機を終了する場合、2つの選択肢が用意されています。

・繰り下げをやめた時点での増額率を適用して年金をもらい始める。これにより待っていた分だけ増えた年金を受け取れる
・65歳からの通常の受給額で繰り下げていた間の年金を一括で受け取る。このとき増額はされないが、65歳からの通常の年金額をもらうことができる

しかし、諸手を挙げて「繰り下げ受給を選びましょう」とはいえない事情もあります。繰り下げ受給にはデメリットもあるからです。

まず、税金や社会保障の負担が増えることです。繰り下げ受給をすると年金額が増えますが、年金額が一定より低ければ「住民税非課税世帯」として優遇を受けられます。年金額が増えるとこうした優遇を受けにくくなります。たとえば、年金収入のみの65歳以上の夫婦の年金額が年間211万円以下、単身なら155万円以下が一つの目安です。

ただし、非課税世帯になる条件は各自治体によって少し違うので、自治体に確認してください。注意点としては、非課税世帯として認められるには、世帯全員が非課税でなければいけません。また、年金以外の収入がある場合は、計算は少し複雑になりますのでここでは割愛します。