原因は円安でもインフレでもない
実質賃金は、前年比だけでみればプラスとなる年も存在するが、一時的な上昇は、過去の下落を相殺するほどのものではなく、その水準は長期的に低下し続けてきた。
近年は名目賃金の上昇が明確となり、名目賃金と実質賃金の乖離が注目されることが多いが、実質賃金の低迷は、近年に始まった現象ではない。
つまり、過去30年ほどを振り返ると、円高の時期であっても、デフレの時期であっても、日本の実質賃金は持続的に上昇した局面は確認できない。むしろ、経済環境が異なる局面を通じて、実質賃金は長期にわたり停滞、ないしは低下を続けてきた。
このことは円安やインフレといった近年の要因だけでは、日本の実質賃金の低迷を十分に説明できないことを示している。実質賃金の低下を、2022年以降に生じた出来事として捉えると、原因を見誤ることになる。
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