一人暮らしは認知症予防に最適
老後の一人暮らしは、認知症予防に最適な方法といえます。80歳になって、身のまわりのことをできるだけ自分でやろうと思ったら、体と頭を使う必要があるからです。
独居の人は、その日の体調や天候などを考慮して、「今日は仏壇を掃除して、洗濯は明日にしよう」、できなくなったことは、「2日後にヘルパーさんが来るから、服のボタンを買ってきて付け替えてもらおう」などと、日々あれこれ考えながら暮らしています。
80代以降は認知症の発症率が急上昇しますが、毎日のように頭も体も使っていれば、認知症の発症を遅らせることができるでしょう。また、私は認知症の患者さんを数多く診てきましたが、独居の人ほど認知症の症状は進みにくいと実感しています。
さらに、現在では一人暮らしをしている人は長生きでもあります。できることは自分でやって、人の助けが必要であれば素直に頼り、ストレスなく快適に生きているからでしょう。
高齢福祉に精通した論客であり、「ヨタヘロ(=ヨタヨタ、ヘロヘロで思うようにならない)期」を奮闘しながら楽しげに生きている樋口恵子先生は、上手にお願いできる力を「依存力」と呼んでいます。
長寿の人はみな、世渡り上手
依存力がある人は、自分の心身の状態や今の状況を踏まえて、どうしてほしいかを具体的に伝えることができ、相手への配慮や感謝の気持ちを忘れずに接することができる人です。長寿の人はみな、世渡り上手なのです。
人はいずれ「独り」になるのだから孤独は避けられませんが、社会から「孤立」しないようにしましょう。孤立感が老人性うつ病や認知症のリスクを高める可能性があるからです。孤独に強い人であっても、孤立せずに生きていくために、依存力を備えておきたいものですね。
「ひとはみんな、よろこばせごっこをして生きています」(やなせたかし/絵本作家)――人にお世話になってお礼を言うと、相手は喜んでくれます。人が喜ぶ姿を見るのはうれしいものです。「ありがとう」のひと言は万能ですね。

