米国は引くに引けない状況に陥った
米財務省が8月24日、対イラン制裁を強化した。詳細はさておき、そのエッセンスは、いわゆる二次制裁のスキームをフル活用して、イランを追い詰めようというものである。もっとも、これは米国の焦りの表れに他ならない。6月21日に始まった停戦協議は、60日間の期限を過ぎても結局のところまとまらず、決裂することになった。
モノとカネの両面でイランに勝る米国が、イランによる粘り強い抵抗を受けて、むしろ追い詰められている。開戦の直前、米国のドナルド・トランプ大統領やピート・ヘグセス国防長官(戦争長官)は、電撃戦による短期での勝利をもくろんでいたのだろう。その当てが外れた形で、事態は着実に泥沼化しており、米国は引くに引けない状況である。
2026年8月24日、米国ワシントンD.C.のホワイトハウス・ローズガーデンで開催された教育関連のイベントで、ドナルド・トランプ米大統領が演説を行っている
こうした構図は、どこかロシアとウクライナの戦争に似ている。ロシアと米国の最大の違いは、ロシアが地域大国である一方で、米国が世界の覇権国だという点だ。それだけに、米国による戦争の動向はグローバル経済に大きな影響を与える。イランがホルムズ海峡の閉鎖に踏み切ったことも、グローバルなエネルギー需給に影響を及ぼした。
他方で、米国の財政であり金融市場は、諸外国からのマネーの流入によって支えられている。米国発のグローバル金融危機が生じた2008年以降、中銀である連邦準備制度理事会(FRB)が散発的に量的緩和政策を実施してきたことにともない、国外投資家の米国債保有比率はかつてより低下しているが、それでも30%を超える水準である(図表1)。
イラン戦争を評価していない金融市場
マクロ的にも、米国の経常収支赤字であり、その背後にある財政赤字は、金融市場を経由した諸外国からの資本流入によって支えられている(図表2)。



