深い呼吸が心のゆとりにつながる
人は急いで動くと、自然と呼吸が浅くなります。呼吸が浅くなると、交感神経が高まりやすくなります。すると、焦りや不安も強まり、さらに動きがせかせかしてきます。
反対に、ゆっくり動くと、自然と呼吸は深くなります。動作が落ち着くと、気持ちにもゆとりが生まれます。コップを持つ、靴を履く、鞄を持つ、玄関を出る。その一つひとつの、1秒かけていた動作を2秒にする程度の工夫で、体に「急がなくても大丈夫」というサインを送ることができます。
もちろん、朝から何十分も何時間も余裕を持って過ごすのは難しい人もいるでしょう。家事、育児、通勤……朝は、誰にとっても忙しい時間帯です。
だからこそ、まずは30秒でもかまいません。布団から起き上がる前に、ゆっくり息を吐く。洗面所で顔を洗うときに、肩の力を抜く。玄関を出る前に、ひと呼吸おく。それだけでも、朝のスタートは変わります。
できれば、いつもより少しだけ早く起きてみましょう。いつもより30分早く起きられれば理想的ですが、いきなりそこまで変えなくてもかまいません。5分でも10分でも、朝の余白をつくることです。その余白があるだけで、動作は自然とゆっくりになっていきます。
忘れ物をしてしまった時こそ、ひと呼吸
「ゆっくり動く」と聞くと、「効率が悪い」と思う人もいるかもしれません。しかし、慌てて動くことでミスが増えたり、忘れ物をしたり、家を出る前から疲れ果てたりするなら、そのほうがよほど非効率的です。ゆっくり動くことは、時間を浪費することではありません。自律神経を整え、結果的に一日のパフォーマンスを上げる大切な準備の時間なのです。
特に、「失敗したとき」ほど、ゆっくり動くことを意識してください。忘れ物に気づいた。予定が狂った。そんなとき、人は一気に焦ります。焦ると交感神経が高まり、判断力が落ち、さらに次の失敗を招きやすくなります。
だからこそ、失敗したときほど、動きを遅くするのです。急いでいるときに、あえてゆっくり靴を履く。急ぎの連絡の前に、深く息を吐いてから電話をかける。歩き出す前に、持ち物を一つずつ確認する。これは決してのんびりしているのではなく、自律神経のバランスを整え、負のスパイラルにはまらないためのリセット術です。


