ポリコレ嫌いの富豪が広告塔に

子どもをハーバードやイェールなどの名門大学へ送り込もうとする富裕層は、これまでプレップスクールと呼ばれる私立の名門校を選ぶのが常だった。しかし、テクノロジーの進化や既存のエリート教育への不信感から、その「既定路線」に背を向ける親たちが急増している。

その流れを象徴する人物の一人が、自身の母校ハーバード大学で勃発した反イスラエルの学生デモを猛烈に批判した著名投資家のビル・アックマンだ。運用資産が300億ドル(約4.7兆円)を超える投資会社パーシング・スクエアを率いるアックマンは、既存のエリート校や大学のリベラル化に強い不満を抱く富豪の一人として、近年の名門校で重視される「DEI(多様性・公平性・包摂性)」の理念に反発してきた。

ビル・アックマン
ビル・アックマン(写真=Senate Democrats/CC-BY-2.0/Wikimedia Commons

アルファスクール共同創業者のプライスは、教育現場で対立を招く「政治的・社会的に論争を呼ぶテーマ」を教室に持ち込まない方針を掲げており、その姿勢に共鳴したアックマンは、同校の事実上の広報役(アンバサダー)を務め、周囲の親たちにアルファスクールを熱心に勧めているとWSJは報じた。

既存の名門校のポリティカル・コレクトネス(政治的正しさ)重視の姿勢に不満を抱く富豪らにとって、AIエリート校は自らの価値観を守るための「逃避先」としての意味合いをも帯び始めている。

トランプ政権は「大きな可能性」と評価

アルファスクールはまた、トランプ政権が進めるAI教育政策の後押しも受けている。米国の教育長官リンダ・マクマホンは2025年9月にオースティンのアルファスクールを訪問。「ここには学ぶべきことが本当にたくさんある。大きな可能性を感じる」と同校を高く評価した。

プロレス団体WWEの元CEOで、共和党の大口献金者として知られたマクマホンは、トランプ大統領が敵視する「左派寄りの教育省」の解体を主導する存在だ。その彼女の同校への訪問は、政権からのお墨付きが得られたことを意味する。

共同創業者のプライスは昨年4月、トランプがAI教育の推進を掲げる大統領令に署名した直後のリンクトインの投稿で、中国がテクノロジー教育で優位に立つ状況に触れつつ、「米国は、教育の軍拡競争を宣言した」と主張した。「この大統領令は学校におけるAIを支持するだけではなく、それを要求している」と彼女は語り、教室が「次の戦場になる」とも述べていた。