教育モデルのルーツは「スキナー箱」
また、米テック系メディアWIREDは昨年10月、アルファスクールに関するさらに詳細で赤裸々な長文記事を掲載した。スペースXのロケット発射場があることで知られるテキサス州ブラウンズビルに新設された同校を訪れたWIREDの記者は、「この学校が多くの親たちを魅了した理由はすぐに分かる」と書いている。
小さな教室は居心地がよく、ビーズクッションが置かれ、壁には生徒たちの「無限の可能性」を称えるメッセージが描かれ、穏やかな香りが漂う落ち着いた雰囲気が作られていたという。また、校内には企業のコワーキングスペースを思わせる部屋があり、十数人の子どもたちがヘッドホンを付け、ノートパソコンに向かっている授業中の教室は驚くほど静かだったという。
しかし、この記事は、アルファスクールの教育モデルの根本に、ある種のディストピア的な世界観があることを強く匂わせている。
同校では、学習目標を達成した生徒にディズニーワールドへの特典旅行などを含む「報酬」を与えているが、その教育モデルのルーツには、動物に特定の行動を繰り返させる研究で使われる「スキナー箱」と呼ばれる装置があることを、記事は示唆している。
この装置を考案したハーバード大学の心理学者B・F・スキナーは1953年、被験体が特定の刺激に反応すると報酬を与える仕組みを娘の教育に応用しようと思い立ち、個別学習機械の開発に取り組んだ。パンチカードで問題を提示し、生徒が正解を入力するとランプが点灯し、次の問題へ進める仕組みだった。アルファスクールの教育モデルは、こうした学習機械がハイテク化したものと考えられる。
自宅でのパジャマ姿まで監視
さらに同校の内部では、さまざまな監視ツールも利用されている。学校側はこの仕組みを、アプリの不適切な利用を検出するために使用し、生徒の集中力や学習への取り組みに問題がないかを把握する目的で導入していると述べている。
だが、監視の範囲は、生徒の自宅での行動に及ぶケースもあり、ある保護者によれば、在校生の娘が自宅で課題に取り組んでいたところ、「アンチパターン」として検出されたという通知が届いたという。娘によれば、パソコンのウェブカメラが撮影した映像が学校側へ送信されており、そこにはパジャマ姿で妹と話している様子が映っていた。
ジェシカ・ロペスと名乗るこの保護者は、2024年に2人の娘をアルファスクールから退学させた後、創業者のプライスに宛てた書簡をネット上で公開した。彼女が指摘した問題点には、アプリのみに依存した授業や人間の教師によるサポート不足、そしてAIが設定した評価指標に追いつくために子どもたちが長時間学習を強いられていることなどが含まれていた。
CNNからこの件のコメントを求められたアルファスクールは、自らの教育手法と成果を擁護し、批判的な関係者の主張について「事実に反する」あるいは「誤解を招くものだ」と反論した。また、学校の透明性や成果に疑問を呈している外部の専門家については、「当校の教育姿勢を十分に理解していない人々」であり、その点を明示した上で紹介すべきだと主張した。

