連鎖退職の恐怖

これらの致命的ミスを放置したまま、毎年せっせと採用活動を続けるのは、例えるなら「穴のあいたバケツに必死で水を注ぎ続けている状態」です。

新メンバーを迎え入れる側の「意識付け」ができていない現場に、どれだけ優秀な人材を投入しても、次々とこぼれ落ちていきます。

そして、最も恐ろしいのは「連鎖退職の恐怖」です。新しい人が早期離職すると、現場に残されたOJT担当の先輩社員は深い傷を負います。「自分のサポートが悪かったのではないか」「自分がもっと話を聞いてあげていれば」と責任を一人で抱え込み、疲弊していきます。ただでさえ忙しい通常業務に加えて、受け入れのプレッシャーと後悔に押しつぶされ、ついには優秀な中堅社員までもが「もうここではやっていけない」と会社を去ってしまう。これが、受け入れ体制の不備が引き起こす最悪のドミノ倒しです。

ドミノ倒し
写真=iStock.com/ilkercelik
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上司の人間臭い寄り添いこそ必要

組織の真の強さは、個人のスキル以上に「人間関係の質」に表れます。

人に無関心な組織は、確実に人を潰します。新入社員や中途社員を、単なる「労働力を補填するパーツ」として扱うのではなく、一人の人間として興味・関心を持ち、愛情を持って接する。そんな人間臭い組織だけが、変化の激しい時代を生き抜き、成長し続けることができるのです。

AIが普及し、業務の効率化やマニュアル化がどれほど進んだとしても、人の心を動かすのは最終的には「人」です。

組織の存在意義を語り合う「理念共有」と、お互いを思いやる「関係構築」。そして、上司の人間臭い寄り添いと「想いの共有(シェアリング)」。一見泥臭く、非効率に思えるこのアプローチこそが、新メンバーの不安を払拭し、彼らを自律的な戦力へと変え、決して辞めない強靭な組織をつくる「最大の武器」になります。

「最近の若者は……」「今回の中途採用はハズレだった……」と嘆く前に、まずは私たち受け入れる側が、彼らに心からの興味と関心を示せているか。胸に手を当てて問い直す時期に来ているのではないでしょうか。

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