希望とのギャップに絶望する…

致命的その1:新人の「希望とのギャップ」を放置する説明不足

新メンバーが退職を決意する大きな引き金として、近年特に目立つのが「希望とのギャップ」です。新入社員であれば「マーケティング志望だったのに営業に配属された」という配属ガチャへの絶望。中途社員であれば「面接で聞いていた役割や裁量と、実際の業務が全く違う」といった絶望です。

組織である以上、全員の希望を100%叶えることは不可能です。問題なのは、希望通りにいかなかったこと自体ではなく、その後の「上司の対応」にあります。

ダメな上司は、不満を抱えるメンバーに対して「会社の決定だからつべこべ言わずにやれ」「まずはここで結果を出せ」と頭ごなしに押さえつけます。これではモチベーションは完全に底を打ちます。

ここで上司に求められる必須のスキルが「リフレーミング(意味づけの再構築)」、そして「理念共有」です。

・「将来のキャリアにとって、この現場での経験がどう活きるのか」
・「自社の経営理念(存在意義)を実現するために、なぜこのポジションを任せたいと期待したのか」

新卒であれ中途であれ、人は「何のためにこの仕事をするのか」という目的を見失うと、たちまち行き詰まります。ここで「理念の大切さ」を語れるかどうかが分かれ道です。単なる「業務命令」としてではなく、経営理念という会社の大きな目的と、本人の人生や価値観、キャリアの文脈を紐づけて、今の仕事の「意味」を翻訳して伝えること。

この理念共有と説明責任を果たすことなくギャップを放置することは、上司の明確な職務怠慢に他なりません。

面談をする上司と部下
写真=iStock.com/maroke
※写真はイメージです

いくら優秀な人材でも入ったばかりで「放置」はきつい

致命的ミス2:忙しさを言い訳にした「無関心」と「放置」

もう一つの致命的ミスは、現場の忙しさを理由にした「放置」です。

多くの職場は現在、プレイングマネージャーであふれ返り、極限状態の忙しさにあります。新しいメンバーが配属されても、じっくりコミュニケーションをとる時間がありません。すると、昭和の価値観を引きずった上司や先輩は、無意識のうちにこう考えてしまいます。

・新入社員に対して
「自分も新人時代は放置されて、先輩の背中を見て育った。お前も自分で仕事を見つけて這い上がってこい」

・中途社員に対して
「即戦力として採用されたプロなんだから、いちいち教えなくても勝手にキャッチアップして動いてくれ」

しかし、この育成・受け入れスタイルは現代では全く通用しません。いくら優秀な中途社員であっても、新しい環境や人間関係の中では最初は「孤独なよそ者」です。放置されることを「自立を促されている」「裁量を任されている」とは受け取りません。彼らにとって放置は「自分は歓迎されていない」「このチームには自分の居場所がない」という強烈な孤立感に直結します。心が折れるのは時間の問題です。

では、忙しい現場はどうすればいいのでしょうか。手取り足取り教える必要はありません。解決策は極めてシンプルです。それは、日々の業務の中で意図的に「関係構築」を図り、「興味関心を示す一声」をかけることです。

・「明日の夕方には時間が取れるから、そこでしっかり話を聞くね」
・「この資料作り、外部から来た君の新しい視点に期待しているよ」

チームビルディングにおいて、人と人との信頼関係を築き、支え合う関係構築は組織を機能させる絶対的な土台です。このような「あなたの存在を承認し、歓迎している」というたった一言のサインがあるだけで、新卒も中途も「自分は見捨てられていない」と安心し、踏ん張ることができるのです。