蔡氏を決心させた2人の「死」

蔡氏はもともと、マルクス主義理論から出発し、党内民主主義を目指す改革派として長く活動してきた。江沢民政権下でのWTO加盟による世界との経済的協調路線を支持し、その方向性をさらに広げようとする立場にあった。

胡錦濤政権下で強まった権威主義的傾向に落胆し、続く習近平政権の強権的な統治に、次第に強い危機感を募らせていたものの、はじめから反体制だったわけではない。

転換点の一つが、2016年の「雷洋事件」だった。