妻の面会と家事全般を一人でこなす

奥さんが倒れてから家事全般は中尾さんがこなしている。

「糖尿があるので食事は基本的に自炊です。面倒くさくなってスーパーで惣菜類を買うこともあるけど、揚げ物はなるべく食べないようにしています。弁当を買うときはまずどれくらいのカロリーなのか確かめる。650カロリー以上の弁当は買いませんね」

糖尿が悪化してインスリンの自己注射をするようにはなりたくないから。

「1カ月の食費は2万円以内に収めている。前は2人で4万円ぐらいだったけど、1人になったから半分にということですよ」

面会に行くのは月曜日と金曜日の週2回。洗濯物の受け渡しをしたり、新聞や週刊誌などを持って行ったり、夕方に行ったときは夕食を食べるのを手伝ったりしている。

「本人は早く家に帰りたいと言っています。看護師さんや理学療法士さんは、転院してきた当初より良くなっているし、筋力も回復していると言ってくれるのですが」

奥さんは、先週から杖を使って1人で歩く訓練を始めたところだ。まだヨタヨタしているが、自力で歩けるようになれば寝たきりや座ったきりは避けられる。

女性介護者の助けを借りて歩く高齢者
写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです

風邪でも38度以下なら自力で治す

「入院期間の目安は6カ月ということです。あと2カ月である程度まで回復しなかった場合は退院し、通院でリハビリを継続することになるそうです」

担当医師にはある程度までの回復は見込めるが、完全に元の状態に戻すのは難しいかもしれないと言われている。素人目だが中尾さんもそうだろうと覚悟している。

「自宅に戻れても、わたし1人で全て面倒を見るのは難しい。介護保険を利用するのは勿論だが、完全自費の生活支援サービサーに来てもらうことも考えないと。これからどれだけの介護費用が必要か不安です」

そのうえ自分の身体のことも心配だ。

「もしがんが再発するようなことになったら、手術や化学療法でどれだけ医療費が必要になるか分からない。貯金が底を突いたら夫婦共倒れということもない話じゃない」

がんは命に係わる病気だから、再発を防ぐよう通院治療と服薬を続けているが、命に係わらない症状は病院へ行かず我慢することがある。

「風邪をひいても熱が38度を超えなければ病院には行かない。ドラッグストアで買った風邪薬を飲んで横になっている」