総資産の約7割が借金に
実際、トイザらスのB/S(バランスシート)を見ると、チャプター11を申請する直前のFY2016では、債務超過のうえ、総資産全体に占める長期借入金は67%となっていました(図表5)。金額で言うと、47.9億ドルもの借入金を抱えていました。総資産が69億ドルであることを踏まえると、いかに負債が多いかがわかるかと思います。
さらにトイザらスのCF(キャッシュフロー)の動きを把握するためにも、C/S(キャッシュフロー計算書)を確認しましょう(図表6)。
このC/Sからは次のことがわかります。第一に営業CFが徐々に減っているということです。FY2016に営業CFは、ほぼない状態にまで減りました。
第二に、継続的に投資CFが毎年2億ドル前後かかっているということです。これは主に資本的支出に使われています。つまり、店舗への投資に使われているというものです。
第三に継続的に財務CFがマイナスになっているということです。これはLBOで借り入れた金額の返済を毎年行っているためです。
これらの結果、キャッシュは徐々に減っていき、FY2016末時点では5.7億ドルまでに減少をしました。図表1でも見たように、FY2016の売上高は115億ドルでした。5.7億ドルしかキャッシュがないということは、1カ月分の売上の半分くらいしかキャッシュがないということです。
これまでの話をまとめると、次のようになります。営業利益ベースではしっかりと黒字を出していたものの、LBOによる多額の支払利息の発生、資本的支出を中心とした投資CFのマイナス、そしてLBOの返済にかかる財務CFのマイナスを通じて、キャッシュが徐々に減っていったということになります。
米トイザらス破綻の真因
とりわけ財務CFをより詳しく見ると、トイザらスがなんとかギリギリでやってきたことがわかります。図表7はトイザらスの財務CFに記載されている長期借入金の弁済額と長期借入金の借入額を時系列でグラフにしたものです。
図表7のようにトイザらスには毎年15〜30億ドル前後の弁済が発生していました。ですが、弁済できる資金的な余裕はありません。
そのため、トイザらスは金融機関から新たに借り入れることで、なんとか借入金の満期を凌いできたのです。これをリファイナンスと言います。
もちろん、金融機関は返済してもらうことを見込んで融資を出します。ですが、「返済は難しい」と金融機関が考えると、融資は出なくなります。となると、トイザらスは満期に借入金を返済できませんから債務不履行に陥ってしまいます。
実際、トイザらスのFY2016のForm 10-Kによれば、FY2018とFY2019で21.48億ドルの弁済と6.27億ドルの利払い、FY2020とFY2021では24億ドルの弁済と2.48億ドルの利払いが予定されていました。これら以外にもリースの支払いがFY2018とFY2019では8.21億ドルもあったほどです。
FY2016時点でキャッシュが5.7億ドルしかなく、営業利益では黒字でも、最終利益ベースで赤字が続き、FY2016では営業CFベースでもマイナスとなってしまったトイザらスにこれらの負債を支払う余裕は当然ありませんでした。
結果的に、負債の返済の目処が立たず、2017年4月にトイザらスはチャプター11を申請することになったのです。
このように、トイザらスがチャプター11に至った理由としては、売上面において、アマゾンエフェクトの影響もあったとはいえ、本質的にはLBOを通じた借入金の負担が大きすぎたことが主だと言えます。
仮にLBOを通じた買収が行われなければ、トイザらスは多額の負債を抱えることはなく、金利負担も倒産直前ほど多くはなかったはずです。事実、先述したように、チャプター11申請前においては、営業利益ベースでは黒字でした。
言ってしまえば、LBOによる買収で生じた多額の負債がなかったならば、トイザらスはまだ事業を継続できていた可能性は高かったと言えます。





