「最初の1杯目」が満足感のピーク

お金は、人生を満たす“答え”ではありません。しかし、人生を整える“土台”にはなります。その土台の上で何を大切にして生きるのか。その選択こそが、あなたの幸福を作っていくのです。

お金が増えれば、私たちの生活は確かにラクになります。住む場所の選択肢が増え、経済的な不安定さは減り、できることも増えていきます。

しかし、ある地点を超えると、お金が増えても安心感や幸福感の伸びは緩やかになっていくのです。

経済学には「限界効用逓減ていげんの法則」という基本原理があります。同じものを追加していっても、1単位あたりから得られる満足度は次第に小さくなっていくという考え方です。のどが渇いているときの最初の1杯の水は、身体中に染み渡るような満足感をもたらしてくれます。でも2杯目、3杯目と飲み進めるうちに、最初の1杯ほどの感動は薄れていくものです。

 水
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15万→20万円と100万→105万円の違い

これと同じことが、お金と幸福の関係にも当てはまります。生活にゆとりがない状態から少しお金が増えたとき、不安が減り、安心感や満足感は大きく高まります。月末に「今月は乗り越えられた」とほっとできる瞬間は、お金が心にもたらす大きなプラスの力です。

しかし、ある程度の水準に達すると、そこからさらにお金が増えても、安心感や幸福感の伸びはだんだん小さくなっていきます。

例えば、手取りが月15万円から20万円に増えたときの安心感の変化と、月100万円から105万円に増えたときの安心感の変化を想像してみてください。同じ5万円の増加でも体感はまるで違うはずです。前者は生活の不安が大きく和らぐ変化ですが、後者はほとんど実感がないかもしれません。これがまさに、限界効用の逓減です。

2023年に発表された、ダニエル・カーネマン、マシュー・キリングスワースらによる共同研究でも、年収が上がるにつれて幸福度は上がり続けるものの、その上がり方のカーブは次第に緩やかになっていくことが確認されています。