個室を返上したがる上司たち

彼らにとって職場は、業務を遂行する場所である以上に、勤勉さと意欲をアピールし、裏の承認を維持するための場なのである。興味深いことに、最近では管理職に個室を用意する企業も増えたが、あえて個室を返上し、部下と同じ大部屋で仕事をしたがる上司が少なくない。これを「部下と同じ目線で働く民主的なリーダー」と好意的に解釈する向きもあるが、実際は自分の存在感や威厳を常に部下に見せつけ、承認を浴び続けたいという上司側のエゴであることも多い。

アメリカの企業で、上司が部下と同じフロアで仕事をしようとした際、「監視されたくないから個室へ戻れ」と部下に追い返されたというエピソードは、日本との決定的な違いを物語っている。

日本の上司は大部屋にいることで、部下の挙動を支配し、同時に自分の「偉さ」を無意識のうちに演出しているのだ。

ビジネスの人々のミーティング
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評価を厳格にするほどモチベーションが減退

「裏の承認」文化は、社員の評価にも影を落とす。

「評価をもっと公平に」「正しく評価してほしい」という声は、社員意識調査で常に上位にあがる。頑張っても評価されなければ報われないという不満は当然のものだ。それを受け、多くの日本企業が人事評価の「厳格化」や「数値化」に取り組み、透明性を高めようと努力してきた。

しかし皮肉なことに、評価を厳格にしようとすればするほど、むしろ社員の満足度は下がり、モチベーションが減退するという現象も見られる。

原因は明確だ。日本企業では個人の分担が曖昧で、集団でのプロセスが重んじられる構造のままである。その中で無理やり「成果」だけを厳密に評価しようとしても、基準そのものが恣意的に運用され、不透明さが際立つだけなのだ。ちなみに成果主義が流行した2000年前後に行われた各種調査では、いずれも6割程度の人が不満や不公平感を訴えていた。かつてのサラリーマン川柳に「成果主義、最終評価は好き嫌い」という句があったが、まさにこの矛盾を突いている。