ホストやキャバ嬢とは正反対の身なり
「シャル下」や「チーマー」が1軍の不良少年のチームだとすると、トー横キッズは3軍、4軍。加えて、組織化されていません。ただ溜まっているだけの老若男女というのが、実態にもっとも近い。それはトー横だけではなく、大阪の「グリ下(グリコ看板の下)」も横浜の「ビブ横(ビブレの横)」も同じです。
観察していて面白いことに気づきました。それは、トー横キッズの装いは歌舞伎町の中心的な存在であるホストやキャバ嬢のような華美な身なりとは正反対だということ。激安店で買ったようなジャージを身につけ、何日も着続けているのか、どれもくたびれて見えました。あとは、ドン・キホーテなどで安価で買えるからか、カルバン・クラインのTシャツを着ている若者も目につきました。
“シゴデキ”という言葉が象徴するもの
――かつて歌舞伎町にトー横キッズのような存在はいなかったのですか?
ぼくは中学・高校時代に新宿駅で毎日乗り換えていたので、よく新宿では遊びました。ただ歌舞伎町にはあまり近寄らなかった。上下赤や黄色のスーツの人が歩いていて、歌舞伎町に入った途端に空気が変わる感じがしたからです。その頃――1980年代の歌舞伎町では「少年ヤクザ」という10代のヤクザが幅を利かせていました。
当時といまの歌舞伎町を比べて改めて感じるのが、裏社会だけではなく、街自体がプロからアマチュアに変わったということ。かつては高級クラブや高級キャバレーがありましたが、不景気とコロナ禍のせいでプロが営んでいた老舗が姿を消して、大学生のような、昔の人に言わせればプロっぽくない若者たちが接客するキャバクラやコンカフェ、ホストクラブばかりになってしまいました。
最近、ホストやキャバ嬢の間で「シゴデキ」という言葉がはやっているでしょう。アマチュアだからこそ、仕事ができる人がもてはやされる。歌舞伎町だけではなく、日本各地の繁華街――いえ、日本全体のアマチュア化をあらわす言葉のような気がしています。

