アカデミー賞への道は閉ざされた
ケネディが大統領に就任するころ、マリリンには大きな2つの事件があった。アーサー・ミラーとの正式な離婚が決まったことと、マリリンがアカデミー賞を狙った「荒馬と女」が公開されたことだ。
「荒馬と女」の評価は散々だった。
「ジョン・ヒューストンが新作を撮った。ゲーブルが主役を務めた。それだけだ」
「彼女の感情表現が乏しい。不幸にも、この映画は、そんな彼女を永遠と見続けなければならない」
「ゲーブルは素晴らしいが、作品は最低だ」
いま、見れば、マリリンの抑えた演技は決して批判されるようなものではないが、当時は評価を得ることができなかった。興行的にも大失敗だった。マリリンが望んだアカデミー賞の道は閉ざされた。
2月5日、マリリンはニューヨークのペイン・ホイットニー・クリニックに入院する。マリリンは暗い寝室に閉じこもり、センチメンタルな音楽を聴きながら睡眠薬しか口にしなくなっていた。周囲が無理やり入院させた。
精神病院から救い出してくれたのは元夫
マリリンが入った病室は、鍵のかかる重い精神病患者が入るところだった。暗い閉所にマリリンは恐怖を感じた。こぶしが血でにじむほど壁を叩き続け、出してくれるよう懇願した。
医者は精神病患者の特徴だと考え、「静かにしないと拘束具をつけるぞ」と脅した。
その状態が2日続いた。マリリンの窮状を見かねた看護婦がいた。看護婦はマリリンの意思を受け入れるよう医者に進言した。マリリンの伝言が許された。彼女は演技指導をしてくれているストラスバーグ夫妻に連絡をとった。
しかし、ストラスバーク夫妻にはなす術がなかった。病院側にマリリンの退院を求めても相手にしてくれない。マリリンは許可を取って、知り合いの2、3人に電話をした。ダメだった。やっと応じてくれたのがジョー・ディマジオだった。
電話を受けると、すぐにディマジオは病院に駆けつけ、マリリンを明日にでも退院させるよう病院に要求した。病院が拒否すると、「病院を粉々にしてやる!」と怒鳴りつけた。
ディマジオはマリリンをペイン・ホイットニー・クリニックから助け出すと、コロンビア大学付属のプレスビテリアン病院に入院させた。


