将来の天皇を意のままに動かす存在に
しかし、80年近く普通の市民として生きてきた旧宮家に、養子になろうという該当者はいるのだろうか?
改正案では、旧宮家の男系男子を養子に迎える案は「15歳以上」としている。先の朝日のインタビューの中で、久邇朝宏さんは、「15歳の年齢なら、それまで自由な空気を吸って生きてきたわけで、皇室の生活になじむのは難しいと思います」と言い、養子案について「(皇室に戻ることは)相当な覚悟が必要」としている。自身の子や孫に打診があっても「やめなさいと言う」と述べている。
久邇さんは、皇室の安定的な継続については必要だと感じている。ただ、「なぜ天皇が男性でなければいけないのか。(総理の)高市さんがあれだけ頑張っているでしょ。女性も頑張れば上がれるんだというのを証明してくれたわけで、女性天皇でも別にいいじゃないと思っています」と話す。
だが、私は、高市首相と麻生副総裁は、養子にする人間を特定し、すでに了解を得ているのではないかと推測している。そうでなくては、このような考えが出てくるはずはないからである。
現実的には、麻生も高齢だから子どもが生まれるまで健在でいられるかは疑問だが、彼には経済界で名を成している息子がいる。麻生太郎の後はその息子が政治家に転身するのではないかとみられている。
そうなれば、麻生家が将来の天皇を意のままに動かし得るという「仮説」は、あり得ない話ではない。
天皇を軽んじる高市首相
私は、そうした将来のことの他に、なぜ今回の改正で天皇の長女・愛子さんをここまで露骨に排除したのかを考えてみたい。
麻生副総裁や高市首相の“底意”の中に、現天皇に対する“反発”といってはいい過ぎかもしれないが、何らかの思いがあるような気がしてならないのだ。
象徴的だったのは、昭和改元から100周年の節目を記念して、4月29日に日本武道館で行われた政府主催の「昭和百年記念式典」である。
天皇皇后両陛下が入場の際、式典副委員長の木原官房長官が先導した。昭和43年10月の「明治百年記念式典」では、式典委員長の佐藤栄作首相が先導していたという。
こうした皇室の式典では前例が踏襲されてきたが、今回はなぜか先導が首相から官房長官に“格下げ”になったのである。
それだけではなかった。式辞は高市首相が述べ、「日本列島を、強く豊かに」などとトランプ大統領のようなキャッチフレーズを嬉々として主張したが、なぜか、天皇の「お言葉」はなかった。
その翌日、異例なことに宮内庁が、「両陛下は歴史から謙虚に学び、終戦以来人々のたゆみない努力によって築き上げられた平和を守るために必要なことを考え、将来へとつなげる努力を続けることが大切との思いで式典に臨まれていた」という両陛下の考えを公表したのである。

