クズが大繁殖し、500億円の損失
ちなみに、人間が特定の動植物を駆除・導入したことで惨事を招いた例は、ほかにもある。たとえば、クズ。秋の七草の一つで、お菓子の葛餅や漢方薬の葛根湯でおなじみの、日本原産のあの植物だ。
クズは、1800年代にアメリカに導入され、当初は観賞用として育てられた。そのうち、土が流れていかないようにするのに役立つ植物として、政府の手で苗木が配られた。
というのも、クズは繁殖力が強い。
根で土をがっちり掴み、つるで地面を覆うこともできるから、土地を守るのにピッタリ。牛の飼料にも使えて一石二鳥……のはずだった。
先ほど「繁殖力が強い」という話をした。
強いというか、強すぎた。
現地でモリモリ増え、葉で日照を遮ってほかの植物を枯らし、電線に巻きついたつるが停電を引き起こした。クズによるアメリカの被害額は、年間500億円以上にのぼるといわれる。
また、シンプルに「気づいて!」と言いたくなる例もある。
これは日本各地で起きてきたことなのだが、害虫を減らそうとして殺虫剤を撒いた結果、益虫も死滅し、何もいなくなったところに新たな害虫が増えてしまった。
この薬剤はネオニコチノイド系農薬と呼ばれ、秋にみられる赤とんぼの数が減った理由の一つともいわれている。人間にとって都合がよかろうが悪かろうが、虫は虫。まあ、そうなるよね……。
アブラムシを天敵の効果で減らす
このような反省もあり、最近は農薬に頼りきらず、動植物の組み合わせで作物への被害を防ぐ方法も広まってきた。
一例を挙げると、キャベツの間にオオムギを植えると、アブラムシが減る。これは、オオムギに産卵するヒラタアブという虫の効果だ。
アブラムシは、植物の汁を吸って枯らしたり、葉の病気の原因になるウイルスを運んだりするので、農業の分野では厄介者とされることが多い。
そんなアブラムシの天敵が、ヒラタアブの子ども。幼虫たちがキャベツに移っていってアブラムシを食べてくれるので、キャベツの被害が減る。
オオムギを間に植えると、キャベツのアブラムシを7~8割減らせる。さらなる効果を狙うなら、コスモスやマリーゴールドを植えるといい。ヒラタアブの成虫は花の蜜や花粉が大好きなので、これらの植物があることで狙った場所に来てくれやすくなる。
このような植物があると、オオムギだけ交ぜたときに比べ、さらに3?6割もアブラムシが減るそうだ。

