「めでたし、めでたし」の魔法
これは子どもに限らず、大人でも同じです。
自信をなくしたとき、自分の未来が「めでたし、めでたし」になることを心から信じてくれる人が目の前にたった一人でもいれば、私たちは何度でも立ち上がり、前へ進むことができます。
「大丈夫だ!」と信じてくれる人がいれば、本当に大丈夫になるのです。
これが、人間を育てる一番の魔法です。
もちろん不安でいっぱいの目を、子どもに向けてしまう日もあるでしょう。
そんなとき、自分で無理にポジティブになろうとする必要はありません。
自分の代わりに、子どもの「めでたし、めでたし」の未来を信じきってくれる存在を目の前に置いてしまえばいいのです。
それが、昔ばなしです。
昔ばなしには、主人公が最後に幸せになって終わる話がたくさんあります。
物語の途中で、親に捨てられたり、化け物に襲われたり、とんでもない失敗をして理不尽な目にあうという試練は何度もやってきます。
けれど、どんなに間抜けな若者でも、寝てばかりいる怠け者でも、最後は助けを得て、めでたし、めでたしな幸せな結末を迎えます。
昔ばなしは、何千年もの間、無数の親子を見てきた子育ての超ベテラン。
目先の失敗やトラブルに一喜一憂しません。
今はダメに見えるかもしれないけど、大丈夫。最後は絶対に幸せになるから、というポジティブな前提で昔ばなしはどっしり構えているのです。
自分が不安に押しつぶされそうな夜は、無理に笑わなくていいんです。
ただ、昔ばなしの本を開いて、その声を子どもに渡してください。
親の代わりに、昔ばなしが、子どもの目の中に明るい未来をはっきりと映し出してくれます。
親の不安なまなざしを、昔ばなしの絶対的な肯定のまなざしにすり替える。
これもまた、昔ばなしが持つ最高にやさしい魔法の一つです。
価値が残るのは、人間側の選択と判断
子育てをしていると、つい「正解」を探してしまいます。
何歳で何ができているべきか。
どの習い事が得か。
どの学校が安全か。
どの教材が伸びるか。
答えがあると安心できるからです。
でも、今の時代で、「正解は一つだ」と信じた瞬間に、親も子も苦しくなります。
なぜなら、子どもたちが生きる世界は、これからますます「正解が一つではない世界」になるからです。
AIが発達すればするほど、答えそのものは速く、安く、簡単に手に入ります。
すると価値が残るのは、「その答えをどう使うか」「その答えをどこまで信じるか」「そもそも何を問いにするか」ということです。つまり、人間側の選択と判断です。
正解が一つだと信じる環境では、失敗への恐怖が強まり、挑戦が減ります。

