AIとの対話は、人類の英知との対話
AIに心がないとはいえ、AIと心を通わせる人がいる。AIとの対話で、心癒される人がいる。私はそれを、とても素敵なことだと思う。AIとの対話は、いわば人類の英知との対話だからだ。世界中のことばを搔き集めたことば関係図に、人を癒す力があるってことでしょう?
さらに、その人は、美しいものも邪悪なものもないまぜになった人類のことば関係図の中から、自分を癒すことばを的確に引き出せたのである。AIを壁打ちに使った自己治癒力の最大化に他ならない。その対話力の高さ、感受性の豊かさに感服するしかない。
AIとのコラボがうまく行ったとき、たしかに、AIには心があるとしか思えないと感じる瞬間がある。私にさえある。
でもね、私たちが心を通わせている相手はAIではなく、人類の英知、人類が寄ってたかってことばを投げ入れた“ことばの泉”なのである。そう、いわば「人類の共通意識」。私は、AIの反応に心動かされたとき、人類の英知と、それを内在することばの素晴らしさを思って、胸がいっぱいになる。AIのすごさは、そのことばの関係図を創り出して保持する能力と演算の速さである。
「AI彼氏」は基本的に否定しない
AIに恋をする人にも、私は「心無いものに恋するなんてどうよ」なんて、微塵も思わない。AIとの親密なやり取りは、自分の中の愛のかたちを確かめる行為。そう考えるとAIは、自分が欲しい愛のかたちを確かめて遊ぶ、愛の練習帖である。
人類の女性たちは、自分のためだけの恋愛小説を、対話で紡いで遊べるようになったのだ。超リアル対話型恋愛ゲームのようなもの。女性たちが、リアル彼氏とうまくやるために、AI彼氏をキープする時代も来るかもしれないね。
AIは、人間の与えたことばをきっかけにことばを紡ぐので、基本、ユーザにおもねる発言をしてくる。「その駅にカフェはある?」のような事実確認は別にして、ユーザの思いをいきなり否定してくることはまずない。たいていは、ユーザの思いを追随することばをかき集めてくれる。いくらでも欲しいことばを紡いでくれるし、ときには思いもよらない嬉しいことばも言ってくれるのである。

