「納得感」を売るPB商品「E-WA!」
物価上昇が続くなかで、平和堂が力を入れているのがプライベートブランド(PB)「E-WA!」だ。PBは利益率改善の手段として語られることが多い。だが、人口減少社会では、それ以上の意味を持つ。メーカー商品だけでは売場の個性は生まれにくい。PBは小売業が自らの価値観を商品として表現できる数少ない手段。E-WA!の強化には、価格競争だけに依存しない平和堂の姿勢も表れている。
生活者は食品価格の上昇が続くなかでも、子どもに食べさせる商品は慎重に選びたい。健康にも気を配りたい。できるだけ無駄な出費は抑えたい。そうした複雑な価値観を抱えている。
平和堂のE-WA!は、こうした生活者の意識変化に応えようとしている。価格だけでなく、品質や安全性への配慮も重視。さらに規格外原料の活用や食品ロス削減への取り組みなど、社会的価値を意識した商品開発も進めている。
平和堂が目指すのは、生活者が「これなら買いたい」と思える納得感のあるPBだ。実際、食品フォーマット改革が売場づくりを通じて買い物体験を向上させる取り組みだとすれば、E-WA!は商品を通じて顧客との関係を深める取り組みだ。
一方、第5次中計が掲げる「子育てニーズ対応」は、くらしモアやKVI(キーバリューアイテム)の価格強化、ジャンボパックの拡充などを通じて進められている。
アプリを使って次世代市場を探る
第5次中期経営計画のもう一つの柱が、「ドミナント戦略をベースとしたHOP経済圏の拡大」だ。この言葉だけを聞くと、ポイントカードの会員組織を拡大する話のように思えるかもしれないが、目指しているのははるかに広い構想だ。
その中核に位置付けられているのがHOPアプリ。近年、多くの小売業がアプリを導入している。クーポン配信やポイント付与は珍しくなくなった。だが、その先の活用には大きな差がある。
平和堂は購買データを商品開発や販促活動に生かそうとしている。どのような商品がどの世代に支持されているのか。新商品は想定した顧客層に届いているのか。どの地域でどのカテゴリーが伸びているのか。こうしたデータを分析し、メーカーとの商品開発や売り場づくりにも反映していく考えだ。
人口減少社会にあって、重要なのは顧客をより知ることだ。子育て世代が何に困っているのか。どのような生活を送っているのか。どんな商品を求めているのか。その理解を深めることができれば、売場づくりも商品政策も変わる。HOPアプリは単なる販促ツールではない。スーパーが顧客を理解するための基盤なのだ。
