皇族から離れるしかない結婚後の選択肢

しかし、そうなると、ひどく奇妙な家庭が出現することになる。

妻は皇族だが、夫と子どもは一般国民のままである。

しかも、妻は皇族として初めて住民登録をすることになる。いったいどこに住民登録するのだろうか。

そうした家族が住む場所がどこかは大問題である。皇居や赤坂御用地など国が管理する土地なのだろうか。それとも、それ以外の場所なのだろうか。その点について、改正案では何も示されていない。

皇居や赤坂御用地であれば、そうしたところに一般国民を住まわせていいのかが議論になる。それ以外の一般国民が住んでいる場所であれば、今度は、身分保持した女性皇族の警備が問題になってくる。どのような生活をするか、イメージすることがかなり難しい。

これではとても、結婚後に皇族の身分を保持することなどできそうにない。皇族から離れるしかなくなる。

そうなれば、いかに皇族数を確保するかからはじまった議論が、まったく意味をなさなくなるのだ。ちゃぶ台をひっくり返すようなものである。非常に奇々怪々である。

なんともグロテスクな皇室典範改正案

改正案は結局、現在未婚の女性皇族を、皇室の外に追いやるか、未婚のまま皇室活動を続けさせるしかなくなるものなのである。

結婚後も身分保持ができるような体制はまったく作られていない。たしかにそれは、女性宮家が創設されるような事態を阻止するには有効である。改正案を作り上げた政治家の本音が、そこにある。

そうなれば、例外規定になったものの、旧宮家からの養子が成立する以外、皇族数の確保、皇位の安定的継承策はないということになる。

天皇家と旧宮家との関係が男系では室町時代まで遡らなければならず、しかも、改正案が示しているように15歳以上の未婚の男子に限定されるのであれば、その祖父からして皇族を経験していないわけで、果たして国民から認められるかどうかが問題にもなっている。

だが、〈「愛子天皇」阻止のため"皇族予備軍"を量産していいのか…天皇陛下の"静かな怒り"に触れた高市政権の皇室軽視〉でも指摘したように、政治家は、天皇や皇族が存在感を示し、「おことば」などによって国民に影響力を発揮することを望んではいない。彼らにとっては、むしろ国民が認めない天皇や皇族のほうが、はるかに都合がいいのだ。

なんともグロテスクな改正案ではないだろうか。

その方向で皇室典範が改正された場合、皇室に明るい未来を見いだすことは難しい。

逆に、明るい未来を想像させる「愛子天皇」待望論は、よりいっそうの高まりを見せることになるのではないだろうか。

天皇皇后陛下並びに愛子内親王殿下(2026年1月1日/出典=宮内庁Instagram[@kunaicho_jp])
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