黙って素早くやるのを卒業すべし
ここまで、アメリカで学んだ効果的にタスクをやめていく方法を説明してきた。実はシアトルで働く日本人の友達と話していると、「日本にいたときのほうが、仕事が断然多かった」とみんな口を揃える。いったい、なぜ日本はタスクが多くなりがちなのか?
それは「黙って素早くやる」という仕事の取り組み方をしているからだ。自分よりも目上の人の意見を黙って聞き、スピード感を持って処理する。これまで美徳とされてきた考え方だと思う。これによって組織やチームが「速く」動けるようになるのは確かだ。良い面も十分あるだろう。
ただこれでは「早すぎる」ということが起きてしまう。「そもそもやるべきか?」を十分に問うことができないまま進めてしまい、引き返せなくなってしまう。その結果として、「これは一体誰のためにやっているのだろう?」と、よく分からない仕事が積まれていく。日本で働いていたときのことを振り返ると、当時はP0とP1をどちらも「最後までちゃんとやらないといけないタスク」と思い込んでしまっていた。
「絶対にないといけないもの」「なんとなく用意しないと上司から怒られそうなもの」など、重要度が異なるタスクを一緒くたにし、ちゃんと精査することなく仕事に手を付けてしまっていた。ぼくは仕事を減らすために「“黙って素早くやる”から卒業すること」が必要なんじゃないかと思っている。
いきなり全部やろうとしてはいけない
「これは本当にやる意味があるか?」と問う自制心と賢さ。一流の同僚たちはこれがあるから、生産性を飛躍的に高め、結果的に休みを確保できているのだと考えている。
現代はAIをはじめとしたテクノロジーの進化で生産性が上がっているはず。それでも毎日たくさん仕事に苛まれることがあるとしたら、その理由はなんだろう? AIは仕事の処理を効率化したり自動化したりするためにどんどん使うべきだと思う。
でも「そもそも何をやるべきか?」については、人間が頭を使って決めていくべきじゃないだろうか。
仕事の付加価値は「作業」で作るのではなく「思考」で作る。世界一流の仲間が「仕事はやる前に勝負を決める」というマインドセットで働く姿を見て、この「思考」の重要さについて痛いほど学んだ。
「休みを生み出す」には「タスクを減らす」ことが重要であり、そのためには「やめる技術」こそが大切。つまり、意味のない仕事をブロックする(退ける)こと。これが、ぼくが世界トップの仲間から学んだ一級の仕事術だ。


