やらなくていいことを明確にする
ぼくはこの経験から「優先順位は自分の思い込みによって支配されがちだ」と思い知った。自分が大事だと思っていることは、自分の仮説でしかない。本当に大事な仕事はお客さんが決める。
アメリカの開発現場では、会社の上層部が事あるごとに「この新しいサービスについてユーザーから意見を聞いた?」「本当に求められているものなの?」と質問してくる。こうした学びを取り入れて、ぼくらのチームもプロダクトを企画するかなり早い段階で、お客さんの声を徹底的に集めるようになった。ここで一手間を入れることでさらに「やらなくていいこと」が明確になり、タスクが減った。そして、「やるべきこと」に集中することができるようになった。
この「声を聞く」仕事のやり方は、社内での細々としたタスク処理にも応用できる。たとえば、上司から「当社の製品と競合他社の製品のデータをまとめてほしい」という依頼があったとしよう。
結論から言うと、最初から「完璧な資料」を作る必要はない。「完璧な資料」が必要かどうかは、自分の仮説でしかないからだ。データは表だけでなく、グラフにもしたほうがいいのか? 競合他社の製品画像は貼ったほうがいいのか? 自分では大事だと思っていても、実は上司にとってはそこまで必要ない(=P1のタスク)という可能性はないだろうか。
いきなり全部やるのは効率が悪い
「結果を出す」というと、最初から完成されたものを出すというイメージがある。とくに日本では、完璧なものを納品しなければならないという意識になりがちだ。大前提として、そうしたスタンスは素晴らしいと思う。だけど、たとえば手が回らなくて忙しいとき、人手や時間が限られているときでさえ、その意識を優先させて、疲弊してしまうことがないだろうか。
そこでやるべきなのが、アウトプットの分解だ。今回の例なら、まず求められているデータそのものを収集する。これが今回の上司の依頼に対する「なくてはならないもの」、つまりP0だからだ。
そして、そのデータを上司に提示するのと同時に、「このデータをこういう観点で加工したり、分析したりできると考えています。それ以外に必要なことはありますでしょうか?」と尋ねる。「あればなお良いもの」、つまりP1の選択肢を提示した上で、相談する。「それでいいよ」と言われればその通りにやればいいし、「そこまでやらなくても、今のデータだけでいいよ」と言われれば、タスクが減ることになる。上司というお客さんの声を聞くことで、本当に必要なことだけにタスクを絞ることができる。
いきなり全部をやろうとしなくていい。まずP0は何かを見極め、P0が完了した時点で上司の声を聞く。その上で、さらに必要なことがあるかどうかを聞く。アウトプットを分解することで、求められていないことにまで時間をかけてしまうリスクを最小限に抑え、作業を削減することができるわけだ。
