「写真共有アプリ」開発に例えると

ぼくがあるプロジェクトに参加したときのことだ。以下、分かりやすさのために仮想事例として「写真共有アプリ」の開発シーンを語っていくが、そこで起きた問題や解決の流れはぼくの実体験そのものと考えてほしい。

一般的な写真共有アプリでは、ユーザーが写真を「アップロード」して保存・共有できる。さらにアップロードした写真は「削除」したり、「名前の変更」をしたり、ときには「並べ替え」たり「アルバムにまとめる」といった管理機能も利用できるのが普通だ。

このプロジェクトは、そのような写真共有アプリを開発するというものだった。開発しないといけない機能は無数にあったが、チームではまずプロトタイプと呼ばれる試作品を開発することになった。この試作品を一部のお客さんに使っていただき、フィードバックをもらい、最終的なリリースに向けて機能を拡充していくのだ。

ぼくは途中からこのプロジェクトに参加したのだが、チームが下した決断にびっくりした。「大事そうな機能」をどんどん後回しにしていくのだ。

最初はアップロード機能だけに絞る

チームが提案したのは、試作品には写真の「アップロード」だけができるようにするというものだった。つまり、写真の「削除」や「名前の変更」、「並べ替え」や「アルバムにまとめる」機能もすべて諦めるということだ。ぼくから見たらそのどれもが「なくてはならない基本的な機能」に思えた。

試作品とはいえ、これはさすがにまずいんじゃないか?

そう思い、エンジニアを束ねるマネージャーのルッコラさん、開発チームのリーダーであるサトイモさんとトウモロコシさんにも相談した。するとサトイモさんはこう言った。

「良い質問だね。でも、ユーザーに直接聞いてみたら良いんじゃないかな?」

そこでお客さんに短いミーティングの時間をもらい、試作品に必要な機能について聞いてみた。すると、「ぶっちゃけた話、試作品の段階ではアップロードさえできればいいよ」という返事だった。

福原たまねぎ『世界の一流が休むためにやっていること』(朝日新聞出版)より
イラスト=瀬戸祥子
福原たまねぎ『世界の一流が休むためにやっていること』(朝日新聞出版)より