注目は日本で声援を送るサポーターにも
アメリカを訪れたサポーターが現地の文化に敬意を示し、新鮮な反応を見せて話題となる一方、日本国内から声援を送るサポーターたちの姿も話題だ。
背景を理解するために、まずは海外の一部サポーターの状況を知る必要がある。ワールドカップの熱狂に駆られ、大会期間中のニューヨークのタイムズスクエアで衝突が起きた。
興奮状態で集まったアルジェリアとアルゼンチンのサポーター同士が、マンハッタンの真ん中で激しくぶつかり合ったと、仏日曜週刊紙のジュルナル・デュ・ディマンシュが報じている。当初は歌や国歌の合唱が響き、発煙筒が焚かれて、祝祭ムードに包まれていた。だが、そこから一転する。
動画メディアBrutが公開した映像には、サポーターたちがもみ合いからみるみる蹴りや殴り合いへとエスカレートしていく様子が映っている。ゴミや物が飛び交う場面もあり、一帯は緊張状態となった。
警察が割って入り、当事者を引き離して複数人を拘束した。事件が起きたのは、現地時間6月15日、アルジェリア対アルゼンチン戦の前夜のことだった。試合を待たずして、残念ながらサポーターたちが互いへの敵意をむき出しにした形だ。
世界を驚かせた渋谷の「40秒」だけの祝祭
タイムズスクエアの暴動騒ぎとは対照的に、同じ時期、世界で最も有名な交差点のひとつ、東京・渋谷のスクランブル交差点では、サポーターたちが秩序ある行動をしたとして海外で取りあげられている。
6月15日の夜。日本代表がオランダ戦を引き分けで終えると、数千人のサポーターがサムライブルーのジャージに身を包み、旗を振り、フェイスペイントを施して交差点に押し寄せた。群衆が交差点になだれ込むと、一瞬、世界中のサッカーファンが見慣れた無秩序な祝祭に見えた、とバングラデシュ英字紙のデイリー・スターは伝える。
だがサポーターたちが交差点に繰り出したのは、わずか40秒ほどだった。歩行者用信号が青だった時間分だ。信号が変わると彼らはさっと歩道へと退避し、車の流れを妨げることはなかった。フランス民放局M6のニュース部門M6 Infoの動画には、車両用信号が赤になるたび交差点に殺到し、青に戻ると誰に促されるでもなく歩道へ引き上げるサポーターたちの姿が映っている。信号が青になるのを待って、彼らは再び交差点へ繰り出す。
SNSでは多くのユーザーたちがこの動画をシェアし、驚きと称賛の声を寄せた。フランス版ハフポストのLe HuffPostは動画で、「東京の有名な渋谷の交差点では、一部の東京市民が規律を守りながら喜びを表現した」と紹介。「日本のサポーターはチームの勝利を祝うときでさえ、規律ある形で行う」とも表現している。
こうした振る舞いが見られるのは、今大会に限らない。ガルフ・ニュースが振り返るのは2022年カタール大会だ。日本が強豪ドイツを破った際、国内のファンは路上に飛び出して歓喜しながらも、車の通行を妨げないよう気を配っていたと同紙は伝えている。
横断以外の目的で交差点に繰り出すこと自体、本来控えるべきとの指摘はあるかもしれない。それでも、混乱状態になったタイムズスクエアなどの事例と比べると、興奮してなおマナーを忘れない日本のサポーターの行動は際立つようだ。


