AIで自分の仕事を「作り直せる」か

「黒字リストラ」の急増や、特定の高度人材への驚くような高待遇。これらはすべて、AI時代に適応するための企業側の生存戦略である。

では、働く側である私たちはこれから何が問われるのか。

“静かに選別される人”にならない人材に共通しているのは、単に「AIのプロンプト(指示文)を書くのがうまい」ということではない。

彼らは、自ら「問題設定」ができる。AIの出力を適切に「評価」できる。与えられた既存の業務をこなすだけでなく、AIを前提として業務そのものを「変えられる」。

自分の専門性をAI活用と接続し、社内固有の経験を、外部でも通用する言葉で説明できる。そして何より、AIの力を借りながら複雑なステークホルダーを動かし、自らリスクを引き受けて「責任ある意思決定」ができる。

これから問われるのは、「AIを使っているかどうか」ではない。AIを前提に、自分の仕事の価値を作り直せるかどうかである。

「特権階級」はもはや存在しない

「正社員はクビにできない」と、無条件に雇用を守る意識は企業側にはもうない。

「黒字リストラ」は一面的な現象などではなく、日本企業がよりシビアな経営スタイルへと変化しつつあることを端的に示す事例に他ならないのだ。

会社が育ててくれる時代から、自分の職務価値を自分で更新する時代へ。ゲームのルールは変わりつつある。

多くの会社で取り組み始めている「社員のキャリア自律化」「ジョブ型人事制度」といった仕組み導入は、この一環でもある。

自分の会社でも似たことが起きている。そう感じたなら、いま一度、自分の仕事の価値を見つめ直してみてほしい。

会社やAIの進化をただ恐れるのではなく、自らの職務価値を再設計するという一歩が、このシビアな時代を生き抜くための確実な道になるはずだ。

■脚注一覧:
[1]東京商工リサーチ TSRデータインサイト「2025年度の『早期・希望退職』は2万781人 約7割が『黒字リストラ』、2009年度以降で4番目の高水準」(2026年4月30日)
[2]厚生労働省「令和6年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況:1 賃金の改定の実施状況
[3]内閣府「2024年度に入って以降の賃金の動向について」(今週の指標 No.1354、2024年8月6日)
[4]PwC「The Fearless Future: 2025 Global AI Jobs Barometer
[5]IMF Finance & Development「Machine Intelligence and Human Judgment」(Ajay Agrawal、2025年6月)
[6]富士通「『ジョブ型人材マネジメント』に基づく採用方針について」(2025年3月7日)
[7]富士通「富士通における人事制度改革の取組み」(国土交通省資料、2024年12月13日)
[8]NEC「ESGデータブック 2023

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