「危ないのは50代」という勘違い

黒字リストラや早期退職と聞くと、多くの人は、「高い給与をもらっている50代のバブル入社組が狙い撃ちにされている」「AIが使えない50代がリストラ対象で、自分には関係ないだろう」などと想像しがちだ。

しかし、その認識は少しずれている。話を単純化して油断していると、足元をすくわれる。会社が見ているのは、「年齢そのもの」ではない。年齢ではなく、報酬と職務価値のズレが見られているのだ。

「この人に、これからもこの高い報酬を払い続ける合理的な理由があるか」

つまり、いま受け取っている報酬に対して、これからの事業にどれだけ貢献できるかという極めてドライな基準である。

AIが本格的に導入され、「仕事ができる人」の定義が変わり始めている。これまで価値を持っていた仕事が、これからも価値を持ち続けるとは限らない。こうした環境下で、会社から手放し始められる、つまり“静かに選別される人”には、大きく分けて4つの共通点がある。

会議、調整、資料作成で価値を出してきた人の足元が揺らいでいる

自分の働き方の棚卸しをするつもりで読んでみてほしい。

①会議・調整・資料作成で価値を出してきた人

かつての職場では、会議をスムーズに回し、関係者の間を飛び回って利害を調整し、見栄えの良い資料を整える人が重宝された。しかし、生成AIの登場によって、リサーチ、要約、たたき台の作成、資料の構成案づくりといった作業の価値は急速に下がっている。

②既存業務には詳しいが、業務を変える側に回れない人

「この業務は昔からこういうルールで回っています」とスラスラ説明できるベテランは多い。しかしAI時代に求められるのは、その知識を使って「AIを前提にすれば、このプロセスはここまでなくせる」「この判断は人間が担い、この処理はAIに任せよう」と、業務そのものを再設計できる人材だ。

③会社固有の作法には詳しいが、市場価値に翻訳できない人

社内で顔が広く、独自のルールや根回しのルートを知り尽くしている。しかし、一歩社外に出たときに、外部市場でも通用する専門性や実績として説明できない人は危うい。AI時代には、会社固有の暗黙知よりも、外部でも通用する明確な職務能力や変革実績が問われるようになる。

④AIを使っている“つもり”の人

ChatGPTでメールの文面を作っている。会議の文字起こしを要約させている。それだけで安心しているなら要注意だ。

【図表】静かに選別される人の4つの特徴
企業内では、社員たちの“静かな選別”が進んでいる。4つのポイントに心当たりがあったら要注意。

重要なのは、AIの出力を評価し、修正し、自分の意思決定や業務変革にどうつなげているかだ。「AIを使えるか」ではなく、「AIを使って自らの職務価値を高められるか」が、分岐点になるのである。