本物の有機農産物を見つける方法
以上のように有機栽培の農作物には見た目や食味に明確な特徴がないので、それらで区別するのは困難です。そのため、イタリア、アメリカ、中国、トルコ、フランス、オーストラリアなどで、通常の農産物に有機の認証シールを貼って高値で売る「オーガニックラベル詐欺」が問題となっているほど。
では、消費者が「本物の有機農産物」を手に入れるにはどうしたらいいでしょうか。やはり、まずはJASの認証マークを目印に買い求めるのが一番でしょう。認証マークがないのにもかかわらず、以下のような文言を使うことは法律で禁止されています。
ラベルが詐欺ではないかと心配な場合は、商品に記載されている事業者や認証番号、または有機JASの認証機関名を調べることで本物かどうかの有力な判断材料になります。農水省のサイトを確認しましょう(※4)。
※4 有機JAS認証事業者一覧詳細(公表に同意された事業者)(令和8年4月1日現在):農林水産省
必ずしも有機が安全とは限らない
ただ、そもそも農作物を選ぶときに、有機栽培を選択肢したほうがいいのでしょうか。栄養価と安全の両方から考えてみましょう。
慣行農業と有機農業の安全性において、現在もっとも大きな違いとして確認されているのは「農薬の残留量」です。実際、EUの大規模調査や複数の研究レビューでは、有機農産物のほうが残留農薬が少ない傾向が一貫して確認されています。
ただし、ここで誤解してはいけないのは、「慣行農産物=危険」という意味ではないことです。現在、日本やEUでは残留農薬に厳しい基準値が設けられており、市場に流通している食品の大半はその基準値を大きく下回っています。つまり、通常の食生活で健康被害が起きることはないでしょう。
一方、有機農業だから完全に安全というわけでもありません。有機栽培でも天然由来の農薬は使用されますし、細菌やカビなどの微生物リスクがあります。そのため、現在の科学的な評価としては、「有機農業は農薬曝露を減らすという点では有利だが、食品全体の安全性が絶対的に高いとまではいえない」というのが定説です。要するに、有機栽培の最大のメリットは、可能な限り環境に配慮した栽培法を用いて土壌環境や生物多様性などの農業生態系を守ることにつながるとされる点です。
