日本人の寿命を縮める「座りっぱなし」
③適度な体力の維持と認知症の予防
・立ち続けることの効用:座りっぱなしの生活を避け、足腰に適度な刺激を与えることができる。
オーストラリアのシドニー大学などによる、世界20カ国を対象とした平日の総座位時間の調査(2011年)では、日本人の平均座位時間は1日7時間で、サウジアラビアと並んで世界最長だった。世界平均の5時間と比べて2時間も長く、生活習慣病や死亡リスクを高める「座りすぎ」が健康上の大問題となっている。この「座りすぎ」が健康に及ぼす影響は大きい。まず死亡リスクの上昇。
1日8時間以上座り続けると、死亡率が上がるという研究データがある。そして11時間以上となると、4時間未満に比べて、40%も高まる。当然、病気の発症リスクも高まる。長時間の座位は血流や筋肉の代謝を低下させ、心筋梗塞、脳血管疾患、肥満、糖尿病、ガン、認知症などのリスクを高める。対策としては、30分から1時間おきに立ち上がる、スタンディングデスクを活用する、こまめに歩く、などが挙げられる。
④自己肯定感の維持
・「ちょっと贅沢な晩酌」「馴染みの店」:自分らしい生活を楽しんでいるという満足感が得られる。
結論。立ち飲み屋さんは、定年後の人たちにとって、「ポジティブな酒と交流を楽しむ至福の時間」が得られる健康増進の場所なのだ。
損得勘定も利害関係もないからいい
人間社会も森羅万象も、すべてが関連し合っている。どれ一つとして完全に独立して存在するものなどない。恩に報いるなどと言うと大仰に聞こえるが、その関係性に気づけば、私たちの気持ちも行動も、自然に変わっていくのではないだろうか。
そして定年後の日本人にとって、経済合理性、すなわち損得勘定や仕事の利害関係から外れた人間関係を築くことには、単なる「暇つぶし」を超えた、心身の健康と幸福に直結する大きなメリットがある。
主なメリットは以下の通りだ。
①心身の健康維持と長寿:ハーバード大学の80年以上にわたる成人発達研究によると、人生の幸福度と健康を決定する最大の要因は「良好な人間関係」である。損得抜きのつながりはストレスを軽減し、心血管疾患や糖尿病などのリスクを下げ、結果として寿命を延ばす効果があることが示し唆さされている。
②「社会的孤立」の回避と孤独感の解消:仕事上の利害関係に基づいた関係は、退職と同時に消失しがちだ。地元のサークルやボランティア、あるいは趣味の会といった「サードプレイス(第3の居場所)」で築く関係は、会社名や役職に依存しない「自分自身」に居場所を提供してくれる。そして定年後の孤独感や喪失感を防ぐことにつながる。

