世界の医療を変えた日本の老年歯科研究

米山先生がLancetにこの論文を投稿したとき、「これは非常に重要な研究だからほかのところには投稿するな」という返事がすぐに返ってきたそうです。通常、ピアレビュー、つまり掲載の可否を見極めるための専門家による査読のある雑誌ではこんなことはないと思うのですが、大変インパクトのある内容と受け止められたのでしょう。

現代の歯科医院
写真=iStock.com/aywan88
※写真はイメージです
書影
水口俊介『からだの「衰え」は口から』(ブルーバックス)

思わず筆頭編集者はこのようなメールを送ったのではないかと推察します。ともかく、病院や老人介護施設での口腔ケアの重要性を示したこの研究は、多くの高齢者の命を救う非常に価値のあるものでした。日本の老年歯科にかかわる研究者は誇りに思い、このような研究をやりたい、と強く思ったものです。

この強いモチベーションは、日本を高齢者歯科に関する研究のトップランナーの地位に押し上げました。そして、この研究が発表された後、高齢者の口腔と全身との関係に関する多くの研究が日本から発信されました。オーラルフレイルや口腔機能低下症も日本発です。

これらの研究により、高齢者の口腔健康管理(口腔衛生管理と口腔機能管理)の重要性が世界に知られることになりました。

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