90分プレー以外の要素が重要になるケースも

③精神的(位置的)優位:「立ち位置」の強み

近年、多くの指導者が最も重要視しているのがこの概念です。本質的には、「相手よりも『良い』場所に『立って』いることで、時間的・精神的な余裕を持つこと」を指します。

「良い」というのはかなり抽象的な概念ですが、仮に数的にも質的にも互角な相手がいたとしても、「立ち位置」だけで相手が無力化できるケースが増えます。

例えば、相手守備の「マークの基準」が曖昧になるハーフスペース(ピッチを縦に5レーンに分けたときの、中央レーンとサイドレーンの間のスペース)に立つことです。これにより、相手が「誰がマークにいくべきか」と迷っている間(1秒にも満たない時間かもしれませんが)に、攻撃側の選手は次のプレーを考える「時間」を手に入れることができます。

同様に、90分プレー以外の要素も重要になってくるケースがあります。

例えば、すでにその試合で1枚イエローカードをもらってしまった選手は、それ以降強烈なタックルを仕掛けてしまうと退場の可能性が生じるため、積極性が鳴りを潜める可能性があります。

審判にイエローカードを出されるサッカー選手
写真=iStock.com/isitsharp
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また、一戦必勝のトーナメント戦で、次戦進出するには残り10分であと2得点が必要となれば、なりふり構わず意識を攻撃に向ける必要があります。このような状況下では、守備側の選手でも冷静に守備重視でプレーはできず、精神的に不利な状況となってしまいます。

相手チームを分析するうえでは、こうした試合状況を踏まえることが重要です。選手が常に普段通りのプレーをできるとは限らず、精神面や立ち位置において優位に立てるかどうかは、試合展開に大きな影響を与えます。

ポジション名の呪縛から逃れる

皆さんにぜひ取り組んでいただきたいのが、「ポジション名の呪縛から逃れる」ことです。

例えばサイドバックの選手が相手の攻撃の選手との1vs1を制してボールを奪い、そのあとオーバーラップして、クロスを中央に放つシーンがあります。これは試合中に見られるごく普通のプレーで、いわゆる皆さんがイメージするサイドバックの選手に求めるプレーだと思います。

しかし、現在では攻撃の際に中盤へと斜めにポジションをずらして組立に参加したり、大外に張り出して相手のサイドの選手を外に引きつけたり、一時的に3バックの右または左に入るなど、さまざまなポジションに変化しながらプレーをすることが一般的になってきました。

サイドバックの選手だけでなく、センターバックが前線に飛び出していくことや、フォワードが自陣まで下りて守備のスイッチを入れることも頻繁に見受けられます。

これからは、ポジションを「場所」ではなく「機能」で定義し直してみてください。